【明日のためのエコレシピ】AIと水問題

「AI(人工知能)」が生活に根付いてきました。話し相手や仕事のアシスタントとして、さらには社会の問題解決に使われはじめ、AIはもはや生活になくてはならないものとなりました。生活になくてはならないものと言えば「水」もそうですが、実は「AI」は「水」とも深いかかわりを持っています。今回は、一見関係がないように見えて実は切り離しては語れない「AIと水」の関係について考えます。

ここでクイズです!

クイズ第1:私たちが生活や農業で「比較的使いやすい淡水」は、地球上のすべての水のうち、どれくらいでしょう?

A:約10%
B:約1%
C:約0.1%
D:約0.01%

クイズ2:AIを動かすデータセンターが水を使う主な理由はどれでしょう?

A:サーバーを冷やすため
B:画面を明るくするため
C:音を出すため
D:文字を読み取るため

※正解はページの一番最後にあります。スクロールして確認してね。


「水破産」宣言国連大学が鳴らした警鐘

「水は無限ではない」。国連大学(UNU)が、先日公表した報告書の中で世界は地球規模の「水破産」の時代に入ったと警告しています。世界各地で水不足が起きていますが、分析の結果、これは一時的な問題ではないと報告しました。

「水破産」とは何でしょうか。水破産とは、地球が雨や雪などで自然に水を再生・補充できる速度を上回るペースで人間が水資源を消費し、もはや元に戻せないレベルに達した慢性的な「水不足」状態を言います。
農業や工業分野の地下水の使いすぎや水の汚れ、さらに必要な水の急激な増加によって、社会が“水の借金”を増やしているということです。
蛇口をひねれば水が出る暮らしの裏で、自然が回復するより速いペースで水を消費している地域もあります。

“水の星”地球で、人が本当に使える水

地球は“水の星”といわれますが、地球の水の多くは海水です。淡水も氷河や深い地面の下にあり、簡単に入手できる淡水は限られます。
私たちが生活や農業で使えるのは「淡水」です。本当に「使える水」は全体の中ではほんのわずかです。使える水は潤沢にある、とは言い切れません。

AIの広がりで増える、“見えにくい”水の消費

AIの利用が広がると、データセンター(大量のコンピューターが動く施設)もたくさん動きます。
AIが使うのは電力だけではありません。サーバーを冷やすしくみによっては水も使います。また、電気を作る過程でも水が使われることがあります。このような水のことをバーチャルウォーターといい、普段の生活では消費の実態が見えにくく、気づきにくいのが問題です。

バーチャルウォーターについては明日のためのエコレシピ「食べ物の輸入は水の輸入?も参考にしてください。

AIはどれくらい水を使うの?

AIはどれくらい水を使うのか調べてみました。
1回AIが答えるたびに使う水の量は、場所や冷却方法、質問の難しさで大きく変わります。そのため、次の表は「目安(推定)」として見てください。

※本表は、各AIに同一の質問を行い、回答として得られた“推定値(自己申告)”を整理したものです(実測値ではありません)。冷却方式・設置地域・電力構成・処理内容により大きく変動します。

この表を見ると、AIへの質問一つひとつが、目に見える形で水を消費していることがわかります。一杯のコーヒーやコップ一杯の水と比べると少量に感じるかもしれませんが、これが世界中で1日に何億回、何十億回と繰り返されると、その総量は膨大なものになります。

AIで解決できる水問題―“消費”だけで終わらせない

AIは水を使う一方で、水のムダを減らすことにも役立ちます。たとえば、

・漏水(ろうすい)を見つける(壊れた水道管を早く発見)
・使う量を予測して配水を調整する
・農業で水やりの量を最適にする
・水質の変化を見張る
・かんばつや洪水の危険を予測する

大事なのは、便利さの裏にあるコストも知ったうえで、AIを「水を守る道具」として上手に使うことです。

まとめ

大切なのは、AIが水をどれだけ使うかを知るだけではありません。私たちの便利な生活の裏で、バーチャルウォーターのような見えにくい環境への負担が生まれていることに気づくことです。
その「見えないコスト」を意識して行動することが、持続可能な社会につながります。

RECIPE×SDGs

可視化されない水の消費を考える

暮らしを便利にするAIも水と無関係ではありません。AIを動かすデータセンターは冷却などで水を使うため、その消費が普段の生活からは見えにくいという特徴があります。ただしAIは、漏水検知や配水の最適化、農業の灌漑の効率化などにより、水のムダを減らす道具にもなります。


クイズの正解

~第1問の正解~

D:正解は約0.01%
地球の水のうち淡水は約3%。その淡水のうち、湖・川・湿地などの地表の水は約0.3%です。3% × 0.3% = 0.009% ≒ 0.01%(全水量に対する割合)となります。

~第2問の正解~

A:正解はサーバーを冷やすため
AIはデータセンターのサーバーで動き、熱が出るため冷却が必要です。冷却方式によっては冷却水を使うので、水の消費につながります。