グリーンウォッシュは以前から指摘されてきた問題ですが、現在は欧州を中心に法規制が本格化しています。「環境にやさしい」「サステナブル」「自然素材100%」。こうした言葉を見ると、私たちはつい“良いものだ”と思ってしまいます。しかし、それが必ずしも本物の環境配慮を意味するとは限りません。本稿では、グリーンウォッシュの事例や日本とEUの対応の違いにも触れながら、消費者が身につけておきたい「見抜く視点」を紹介します。
~目次~
・身近にあるグリーンウォッシュの実例
・6つのグリーンウォッシュの種類
・日本とEU、グリーンウォッシュへの対応の違い
・グリーンウォッシュを見抜く3つの視点
身近にあるグリーンウォッシュの実例
「グリーンウォッシュ」は、安価な漆喰で壁の汚れを隠すように、表面だけを取り繕うという意味の「ホワイトウォッシュ」と「グリーン(環境に配慮した)」を組み合わせた造語です。環境負荷低減の取り組みや効果を実際以上に見せる行為や表現、また情報発信側が意図していなくても、結果として誤認させてしまう表現のことをいいます。
実際の事例としては、中国発のウルトラファストファッションブランドSheinは、グリーンウォッシュに該当する行為に対して2025年にイタリア競争当局から100万ユーロの罰金を科されました。ウェブサイト上でリサイクル性や環境配慮を謳う曖昧・誇大な表現を使用していたことに加え、「2030年までに温室効果ガス25%削減・2050年ネットゼロ」を掲げながら、実際には排出量が増加していた点も指摘されています。

ウェブサイト全体に散りばめられた曖昧表現のイメージ
また、航空会社のKLMオランダ航空は「Fly Responsibly」というキャンペーンを展開していましたが、環境団体から実態以上に環境配慮を強調しているとして提訴されました。2024年にはアムステルダム地方裁判所が、広告表現の多くを誤解を招くものと認定しています。特に、カーボン・オフセットによって環境負荷が大きく軽減されるかのような印象を与えていた点が問題とされました。

実際の広告(出典 Travelmole)
日本でも、2022年にストローやごみ袋などのプラスチック製品に「土に還る」「自然に分解される」といった表示を行っていた10社に対し、消費者庁が景品表示法違反(優良誤認)として措置命令を出しました。これらは生分解性プラスチックを使用していたものの、分解が確認されていたのは高温など限られた条件下にとどまり、実際の自然環境で同様に分解される根拠は十分に示されていませんでした。

朝日新聞の記事より作成した違反商品のイメージ
最後部の 「コラムの更新をお知らせします!」 の後に、本コラムの出典情報をまとめて記載しています。
6つのグリーンウォッシュの種類

企業のどのような行為が「グリーンウォッシュ」にあたるのでしょうか?イギリスの非営利シンクタンクPlanet Trackerは、レポート「The Greenwashing Hydra」(2023)でグリーンウォッシュを6つのパターンに分類しています。
日本とEU、グリーンウォッシュへの対応の違い
本質的な違いは、規制の仕組みや禁止対象の明確さにあります。EUでは根拠のない表示自体が法で明確に禁止されており、企業は環境主張を表示する時に十分な裏付けを備えていなくてはなりません。一方、日本では不当表示が疑われた場合に行政が根拠提出を求める、事後執行型の規制法です。
※ ECGT指令= Empowering Consumers for the Green Transition Directive(グリーン移行に向けた消費者の権利強化指令)
※ グリーンクレーム指令=ECGT指令の上乗せ規制となる指令
※ 適格消費者団体=国から認定を受けた消費者団体
※ 2026年3月時点の情報にもとづく
EUでは、既存の消費者保護法を改正する形で環境表示規制が強化されており、ECGT指令によって環境主張に関するルールが明確化されています。これに対し日本にはグリーンウォッシュを取り締まることを主目的とした法律はなく、景品表示法(正式名:不当景品類及び不当表示防止法)という、商品やサービスへの不当な表示や、過剰な景品配布により購買を誘導することを防止するために作られた法律で対応されているのが現状です。サステナビリティ報告書での目標宣言や商品に紐付かないイメージ広告など、景品表示法の適用範囲から外れる環境主張や表示については景品表示法違反かどうかの判断が難しいという課題があります。また、「環境表示ガイドライン」の履行は義務付けられておらず従わなくても罰則などの対象になりません。そのため、グリーンウォッシュの抑止力としては不十分であると指摘する声もあります。
日本政府はグリーンウォッシュの規制強化に向けて動き始めてはいますが、その方向性はEUとは大きく異なります。消費者庁は2024年11月に「グリーン志向の消費行動に関するワーキングチーム」を設置し、消費者の行動変容を促す取り組みを検討中です。また、環境省は2026年3月末に「環境表示ガイドライン」の改訂版を公表する見込みです。改訂版では、環境表示の根拠をより厳しく求めるとのことですが、改訂後も法的強制力のない任意規範になりそうです。日本政府の方向性は、企業のグリーンウォッシュを直接規制する新たな法を整備する代わりに、ガイドラインの充実と消費者の行動変容の促進に重きをおいています。このことから、「見抜く力」を持った消費者の存在がグリーンウォッシュ抑止の重要な要素になると考えられます。
グリーンウォッシュを見抜く3つの視点
こうした状況の中で、私たち消費者がグリーンウォッシュを見抜くためには、次の3つの視点が参考になります。

1. どこが”エコ”なのか?
素材だけの”部分的エコ”か、製造・輸送・廃棄まで含む”全体的エコ”かを区別しましょう。「何が」「どの工程で」環境負荷を減らしているか、具体的な説明があるかが判断の手がかりです。
2. 第三者認証や裏付けデータがあるか?
エコマーク・FSC・MSCなどのロゴは、第三者機関による審査に基づくものであり、一定の信頼性があると言えます。一方、独自マークや自己宣言だけの場合、消費者が裏付けデータの信頼性を調べるのは困難ですので、パッケージに公的・国際的な認証ロゴがあるかどうかを確認しましょう。
(参考)環境省 環境ラベル等データベース
3. 数値と情報が公開されているか?
「サステナブル」「カーボンニュートラル」は数値の裏付けなしに使われることも少なくありません。企業サイトやサステナビリティ報告書にCO₂排出量・リサイクル率などの数字が明示されているか。「言葉」より「数字」に注目しましょう。
この3つを意識するだけで、環境に関する表示の見方は少しずつ変わっていきます。日本では法律によるグリーンウォッシュの規制が限定的である中、消費者一人ひとりの「問う姿勢」が、不誠実な表示の抑止につながることが期待されます。ただし、“完璧なエコ”は存在しません。だからこそ、「何となく良さそう」で選ぶのではなく、情報をもとに自分なりに調べて判断していくことが大切です。
最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。
ニュースレター_2026.3
令和8年3月30日
株式会社リーテム
法務部
加藤 翠
リーテムのサービスのご紹介

解体撤去ワンストップサービス
https://www.re-tem.com/service/closure-dismantle-removal/
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出典
グリーンウォッシング(ウィキペディア)
Shein greenwashing leads to $1.16m fine (Institute of Sustainability Studies)
Dutch airline KLM misled customers with vague green claims, court rules (The Guardian)
KLM launches Fly Responsibly campaign (Travelmole)
環境に優しいプラ「使い捨てOK」の表示はダメ 10業者に行政処分 (朝日新聞)
The Greenwashing Hydra (Planet Tracker)
EU、根拠のない「エコ広告」規制を再強化。その背景とは(ideas for good)
グリーンウォッシュと景品表示法規制(PWC)
環境省、企業広告の環境表現について「グリーンウォッシュ対策」の新指針を3月末に公表へ


