読み解く!廃棄物処理法(16) ~許可権者、事前協議(3)~

今回のコラムでは、4月1日に中核市が誕生したことに伴う産業廃棄物に関する許可権者が増えたこと、またそれに伴う産廃の事前協議についても整理をし、さらにここ最近の「自治体が2040年に半数消滅する恐れがある」というニュースや、そのほかにも自治体に関するニュースがありましたので、それらを少しばかり紹介させていただきます。

中核市の誕生(産廃の許可権者の誕生)

枚方市(大阪府)が4月1日に中核市となりました。

これにより、産業廃棄物に関する許可権者(産廃の許可権限を有する自治体)は合計113となりました。
(詳細は以下の表を参照のこと)
※枚方市では、中核市となったのを機に、新たに「枚方市産業廃棄物の不適正な処理の防止に関する条例」を制定、施行しておりますが、基本的には、大阪府で規定していた条例の内容をそのまま枚方市の条例で引き継ぐかたちとなっています。

事前協議制度のある自治体

事前協議制度とは、簡単に言えば、県外の産業廃棄物を県内の処理業者に搬入する際に、その搬入する処理業者を管轄する自治体に対して、なぜ県外から持ち込むのかを協議する、という制度なのですが、上記の枚方市の誕生により一覧が変わりましたので、ここに整理します。

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※色付きは事前協議が必要な自治体です。
また、千葉県などは中間処理場への搬入は必要なくなりましたが、最終処分場への搬入はまだ事前協議が必要ですので、必要な自治体ということで載せております。

今後、中核市を目指す自治体

来年度の平成27年4月に中核市となる予定の市は以下の2市です。

・八王子市(東京都)
・越谷市(埼玉県)

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産廃に関する中核市、事前協議制度の情報はこれまでのとおりですが、ここからは一般的な情報の「自治体のこれから」というテーマで、ここ最近のニュースをご紹介します。

「自治体が2040年に半数消滅する恐れがある」 (ニュース)

以下の日経新聞、朝日新聞の記事にもあるように、2040年には全国1800市区町村の半分の存続が難しくなると予測されています。また、国土交通省も全国6割の地域で50年に人口が半分以下になるとしており、ある程度の人口を保つことを前提にした国土政策は見直しを迫られる、とされています。

◇日経新聞(2014.5.8)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0802O_Y4A500C1EE8000/

◇朝日新聞(2014.5.8)
http://www.asahi.com/articles/ASG577DHPG57UTIL060.html

『「平成の大合併」のピークからまもなく10年 → 地方交付税の減額』 (ニュース)

 

今から15年前から進められていた「平成の大合併」。

当時は3200あった市町村が今では1700に減少。この「平成の大合併」を経験したのは、その内の590の自治体が経験。さらにこの内の約半数にあたる308の自治体が深刻な財政難を迎えているとされています。

当時の国会では、地方分権を推し進めており、1999年から2000年半ばの間にいわゆる「平成の大合併」が行われておりました。しかしこの合併の後には、国から支給される地方交付税が減らされてしまいます。そこで国はこの合併を促すために10年間は地方交付税が減らされないという優遇された特例措置を時限的に設けておりました。

現在、この「平成の大合併」のピークからまもなく10年が経とうとしており、10年の経過後には、合併した市町村の地方交付税が減額されてしまいますので、自治体は、前述の人口の減少に加えてさらに財政難となる事態となってしまいます。

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◇日経新聞(2014.1.16)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF1600C_W4A110C1EE8000/

◇フジサンケイ ビジネスアイ(2013.11.5)
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/131105/mca1311050501000-n1.htm

 

このように、中核市となる自治体が今後も増え続けていく中で、自治体の財政難や人口の減少という現状もありますので、今後の許可権者がどのように増減されていくかを注意深くみていく必要があるものと思われます。

 

平成26年5月12日
株式会社リーテム
マネジメント推進部
坂本裕尚
(図)池田翠