読み解く!廃棄物処理法(18) ~処理業者による不適正処理~

今回のコラムでは、前回のコラムでの予告?にもありましたように、処理業者での不適正処理や野積み、不法投棄がなぜ行われるのか、の要因の中のひとつをご紹介します。

「処理業」と他業界の違い① ~“物”と“お金”の流れ~

以下の画にもありますように、廃棄物の処理業者と、他の業界、例えば製造業を比較すると、一目瞭然“物”と“お金”の流れが異なります。
・「処理業」は、“物”と“お金”の流れが一方通行
・製造業は、“物”と“お金”の流れが逆、つまりは“物”を売って“お金”を得る
という流れで、真逆です。

というように製造業であれば、“物”の価値に見合った“お金”で有償取引する、というような両方向通行ですが、廃棄物の処理においては、前述のとおりの一方通行となっています。

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さて、このような“違い”は何を引き起こすのでしょうか?

製造業の場合は、“物”の価値に見合った“お金”の有償取引となり、その“物”に見合った価格でないと、消費者は買いません。その“物”の品質等の価値で価格が決まります。

さて、廃棄物の処理においても同じようにその品質等の価値が価格(処理費)になっているでしょうか?
排出事業者はその処理費がその処理業者の品質に見合った価格であることはどのように見極め、判断できるのでしょうか?正直、多くの排出事業者はなかなかその見極めはできていないものと思われます。我々処理業者のように多くの他の処理業者を見ることができればその見極めはできるようになるものと思われますが、一般的な排出事業者はそこまでの見極めはできないのが現実ではないでしょうか。従い、処理業者の言いなりの処理費となってしまっているものと思われます。

話を元に戻しまして、廃棄物の処理における“物”と“お金”の流れが一方通行というのは、結論を言いますと、不適正処理を招きやすいということです。だってそうです。廃棄物の処理の場合は、廃棄物とお金の両方が一方通行で動くわけで、排出事業者にはマニフェストのD票やE票が残るだけですから、それでその処理業者の品質を見極めろというのはなかなかコクなものがあります。

その他にも、処理業者による不適正処理を招きやすい要因もあり、その二つ目としては、ヒントだけ紹介します。
・ヒント…処理業者が利益を上げるために、簡単にできることです!

いやいや、リーテムさん、処理業者が不適正処理を招くとは言うけど、それはおどしでしょ?と思われる方は、以下の環境省資料をご覧いただければと思います。

 

<不法投棄件数と投棄量の推移>

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出展:環境省
http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=23583&hou_id=17550

 

この資料にもあるように、処理業者でも不法投棄を多くしているのです。不法投棄までいかないまでも不適正処理というのはもっと多くの件数、量で行われているのです。この現実を見ずにはいられないと思いましたので、今回ご紹介させていただきました。

平成26年8月11日
株式会社リーテム
マネジメント推進部
坂本裕尚
(図)池田翠