食品廃棄物の横流し再発防止策(法改正パブリックコメント)

早いもので、今月末には年末を迎えます。思い返せば、今年の初めの1月に、廃棄されるはずのビーフカツが横流しされた事件が世の中を騒がせました。
この廃食品の横流しは廃棄物処理法にどのような影響を与えるのか見守ってきたのですが、結局のところ、大きな改正としては、廃棄物処理法ではなく、食品リサイクル法の省令改正ということとなりました。
環境省から先日パブリックコメントが出されましたので、おそらく以下のような改正となるでしょう。

■法改正の法令、省令

法令・・食品リサイクル法の省令である「食品循環資源の再生利用等の促進に関する食品関連事業者の判断の基準となるべき事項を定める省令」 

対象・・ 食品メーカーなどからの売れ残りや期限切れなどの食品廃棄物の食品リサイクルに回るものが対象となります。したがい、焼却処分されるものは対象外となります。

■改正内容

(1)食品メーカーなどが自ら食品リサイクルを行う場合

・不適正処理されないよう適切な措置を講ずること
・その措置が再生利用の阻害につながらないようにすること

   

 

(2)収集運搬を委託する場合(転売可能なものの場合)

・食品廃棄物が食用と誤認されないような措置

・委託内容どおりの収集運搬が行われているか確認

           

 

(3)処分(再生利用)を委託する場合

・委託先の処理状況の確認、及びその再生利用状況の確認

・委託先周辺地域の処理費や処理方法を踏まえて、適正な処理料金であること

 

(⊕転売可能なものの場合)

・食品廃棄物が食用と誤認されないような措置

・委託内容どおりの処分(再生利用)が行われているか確認

 

 

 

◇食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律関係省令の一部改正案に対する意見の募集(パブリックコメント)について

http://www.env.go.jp/press/103155.html

 

 

これまでいろいろな議論が審議会等によって行われてきましたが、このようななんとか排出事業者がぎりぎり対応できるようなところに落ち着いたものと思われます。
しかし、もともとはダイコー社のような横流しを行う処理業者がいたがために、善良な排出事業者にも負荷を負わせるようなこととなったのは、やはり極めて遺憾だと言わざるを得ません。
今後はこのような悪質極まりない処理業者が出てこないことを願うばかりです。しかし、これまでの環境省発表の不適正処理件数などのデータを見ると、処理業者も毎年のように10件以上は不適正処理していますので、やはりなかなか減らないことが容易に推測できます。
したがい、廃棄物処理法でも排出事業者責任が求められておりますので、その責任の基、適正処理を間違いなく行う処理業者に処理委託されるようにしていただければと思います。

最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。

ニュースレター_2016.12

 

平成2812月9
株式会社リーテム
法務部
坂本裕尚
(図)池田翠