続編 中国廃棄物輸入規制ショック!!

先月、本コラムでご紹介した、中国の廃棄物の輸入規制による日本への影響と関係業界の動向をご紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

中国の廃棄物輸入ストップ宣言のその後

中国は、環境汚染の深刻化への対処として、諸外国からの廃棄物(雑品スクラップ、廃プラスチック、雑紙 その他)の輸入を2018年12月末までに全面停止すると発表しました。実際に、中国が2018年1~3月に日本や欧米から輸入した廃プラスチックは約4万4000トン。前年同期と比較すると、約20分の1に減りました。

日本の場合、雑品スクラップ、廃プラスチック、雑古紙の輸入規制が本格実施されると、およそ計250万tの「行き場のない廃棄物」が発生すると予測されています。すでに日本では関係商材の国内滞留、処理・リサイクルの受け皿の逼迫による処理料金の高騰などの影響が生じています。

(中国の廃棄物輸入規制の詳細は、先月のコラムをご参照ください https://www.re-tem.com/ecotimes/column/2018june/

 

第三国(中国以外の国)の廃棄物輸入規制の動き

中国ではなく、東南アジア諸国に廃棄物を輸出する動きが強まっています。中でもタイ、マレーシア、ベトナムへの2018年1~3月の廃プラスチックの輸入量が急増しており、タイでは前年同期と比較すると18倍、マレーシアは4倍、ベトナムでは2倍以上に増加しました(グローバル・トレード・アトラス資料より)。

これには、中国内のプラスチックリサイクル企業約1,000社が、自国の輸入規制により原料が不足して事業縮小や廃業に追い込まれた結果、東南アジアに事業場を移して、諸外国から廃プラスチックを買い集めている(輸入している)、という背景があります。中国企業が雑品スクラップを東南アジア諸国で手選別して選別品を中国に金属くずとして輸出したり、廃プラスチックから再生ペレットを製造して中国に輸出しています。

東南アジア諸国では、急増する廃棄物の輸入に対して規制強化の動きが始まっています。例えばタイでは廃プラスチックや使用済み電子機器の違法輸入業者が増加し、焼却処分の悪臭や不法な埋め立て等が問題となり、現地政府が違法輸入業者への法的措置と積荷の輸出国へのシップバック(送り返し)等の規制強化の方針を伝えています。また、ベトナム政府とマレーシア政府は廃棄物の輸入を一時的に制限する措置を講じていますが、今後は本格的に適用される可能性があります。

今後、輸入規制強化の動きが東南アジア全体に拡がると見られています。東南アジア諸国向けの輸出についても持続性の観点で内在する問題があると言えるでしょう。

 

日本国内の廃プラスチック処理の動向

第三国への廃棄物輸出の道が先細りなのだとしたら、日本は、廃棄物の総量を減らす努力とともに、自国内でリサイクルを完結するための新たな投資や早急な体制づくりを迫られているということになります。ちなみに環境省は、第四次循環型社会形成推進基本計画(2018年6月19日閣議決定)を発表しました。この中には資源循環の課題の一つとして廃プラスチックの徹底的かつ効果的・効率的な回収とリサイクルを促進するための戦略が含まれています。

 

日本国内の雑品スクラップ処理の動向

雑品スクラップ事業者のみならず、認可を持つ金属廃棄物の破砕業者やその他の業界にも変化が生じています。

 

編集後記

中国の廃棄物輸入規制はこの先世界のリサイクルシステムに変革を起こしそうです。多方面の情報にアンテナを張り、関連する他業界との積極的な協力を進めるなどにより、これまでにない新たな事業展開が求められるだろうと実感します。世界のリバースサプライチェーン(廃棄物の流れ)の転換期にいる現在、今後の動向から目が離せません。

 

最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。
ニュースレター_2018.7

 

平成30年7月23日
株式会社リーテム
サスティナビリティ・ソリューション部
小林 均

(編集)杉山里恵
(図)加藤 翠

 

リーテムのサービス紹介

電子マニフェストの導入・運用ご支援サービス

電子マニフェストの導入・運用ご支援

PCB廃棄物処理コンサルティング

PCB廃棄物処理コンサルティング