中国廃棄物輸入規制ショック!!

ご存知の方も多いと思いますが、
中国はこれまで資源不足を補うため、海外の廃棄物を原材料として輸入してきました。
ところが2017年7月に、中国政府は世界貿易機関(WTO)に対し、廃プラスチック、雑紙、雑品スクラップ等の廃棄物、すなわち外国ごみ(=洋垃圾)の輸入を段階的に停止すると通告しました。2018年12月末には全面停止すると発表しています。この規制は日本のリサイクル、資源、その他関連業界に非常に大きな影響を及ぼしつつあります。

 

輸入規制の理由

中国が輸入停止を目指すに至った理由には、次のことがあると言われています。

1.外国から輸入した廃棄物の中に汚染物質が混入していて、中国国内に深刻な環境汚染を引き起こしていること。

2.経済成長に伴って中国国内での廃棄物の排出量が増えてきたので、国内に健全なリサイクル産業を育成し、国内発生の廃棄物をきちんと回収し、それを適正にリサイクルして原材料に利用する仕組みを促進したいこと。

 

中国輸入規制の背景と日本の関連制度見直し

過去に本コラムでご紹介したとおり、日本国内では「雑品スクラップの取扱い・輸出」を巡り、雑品スクラップのぞんざいな扱いに伴う有害物質の飛散や流出による、生活環境保全上の問題や不適正輸出に伴う環境汚染を防止する観点から、関係する2つの法律の改正がされました。

①廃棄物処理法
「有害使用済機器」という新たな分類を設け、管轄自治体への「事業届出」を義務化。違反者に罰則。

②バーゼル法
取締り現場での迅速な規制対象物認定の実現や、規制対象物の法的根拠の明確化のため、特定有害廃棄物等として「規制対象物」を規定。(現在、省令案を調整中)

 

輸入規制による影響

全世界への影響

日本の他に、米国、タイ、ドイツ、オーストラリア等々がこれまで中国へ廃棄物を輸出してきました。輸入禁止となる対象が、廃プラ全量(735万t)、古紙(雑古紙)、雑品スクラップ(350万t)と広範に及ぶことから、全世界の再生資源等に係る産業サプライチェーン及び関係企業・業界(社会制度含む)全体に多大な影響が及んでいると見られています。

 

日本への影響

・日本から中国向け廃棄物の輸出は、2004年以降の中国の経済発展とともに急激に増大して15年が経ち、「需要先としての中国」を前提に、社会システムが構築されてしまっています。例えば廃プラスチックの場合、2016年には日本でマテリアルリサイクルされる廃プラスチック量全体の63%にあたる約130万tが中国(香港経由含む)向け輸出されました。

・廃プラスチック、雑品スクラップ、雑古紙の輸入規制が本格実施されると、計250万tの「行き場のない廃棄物」が発生すると予測されています。

・今回の急激で且つ大規模な変化に対応する調整余力が日本にはほとんどないため、すでに、関係商材の国内滞留、処理・リサイクルの受け皿の逼迫に伴って、リサイクル処理料金の高騰などの影響が生じています。

 

本件の続報

→→→ 規制対象品目ごと(廃プラスチック、雑品スクラップ)の動向

今後のコラムで続編をお伝えします!

廃プラスチック、雑品スクラップ、の2つにフォーカスを当てて、それぞれの動向や、今後どのように変化すると予測されるのか等、詳細な情報を引き続き本コラムでご紹介いたします。

 

最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。
ニュースレター_2018.6

 

平成30年6月20日
株式会社リーテム
サスティナビリティ・ソリューション部
小林 均
(図)加藤翠

 

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