ケーススタディから学ぶ廃棄物の取り扱い(1) ~家電製品の廃棄~

本コラムの読者様、いつもご覧いただきありがとうございます。

さて、おかげさまで本コラムへのアクセス数も急増してきましたので、これからのコラムは少し趣を変えて、より充実したコラムにしようかと思います。

具体的にはコラムのタイトルとして『ケーススタディから学ぶ廃棄物の取り扱い』なるものを加え、廃棄物の取り扱いにおける実際のケースを基に、その取り扱い、注意点などについて詳しく紹介していきます。

本コラムの対象者としては、廃棄物に関わる業務をされている方を対象とし、その参考書となるべく、その手ほどきをよくある『ケース』を基に、紹介していきます。
よって、廃棄物の”いろは”がわからない人でも、その取り扱いにおける手順や、気を付けておきたい注意点など、わかりやすく書かれているものになるものと思われます。
また、このスタディは、初心者から上級者の方にも対応すべく、少しニッチな情報も加えて、余すことなくご紹介していきます。

廃棄物を取り扱う上で、対象となる法律は、廃棄物処理法は当然ながら、小型家電リサイクル法、家電リサイクル法、自動車リサイクル法、容器包装リサイクル法、食品リサイクル法、建設リサイクル法、グリーン購入法、資源有効利用促進法、放射性物質汚染対策対処特措法、土壌汚染対策法、水質汚濁防止法、大気汚染防止法、海洋汚染防止法、環境影響評価法、フロン回収・破壊法、PCB特措法、石綿(アスベスト)関連法、環境教育推進法などなどこんなにものたくさんの法律があります。

これらの法律をひとつひとつ読み解いて理解していくのは、なかなか厳しいものと思われますので、よくある『ケース』を基に、これらに関してやるべきこと、これらの法律におけるtaskなどを整理し、法律を横断的に紹介していきます。
(この点が他の書籍などにはないものと思われますので、ぜひともお読みいただければと思います。)

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具体的には、以下のようなケーススタディを考えています。(以下はほんの一例です。)

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◇家電、小型家電の廃棄
・企業から家電製品を廃棄したいとき (廃棄物処理法、家電リサイクル法、小型家電リサイクル法)

◇建設廃棄物、メンテナンス廃棄物
・メンテナンス会社に修理してもらった廃棄物の取扱い (廃棄物処理法)
・店舗の原状回復に伴う建設廃棄物の取扱い (廃棄物処理法、建設リサイクル法)
・上記、発注者側におけるtask (廃棄物処理法、建設リサイクル法)

◇少量の廃棄物
・少量の研究試薬(無害の廃液)などを流し台で流したいとき (廃棄物処理法、水質汚濁防止法)
・ゴミ袋一袋の産業廃棄物を廃棄したいとき (廃棄物処理法)

◇フロン
・フロン入りの廃製品を廃棄したいとき (廃棄物処理法、フロン回収・破壊法)

◇放射線
・放射線量の高いものを廃棄したいとき (廃棄物処理法、放射性物質汚染対策対処特措法)

◇食品廃棄物
・レストランから廃棄される食品残渣の取扱い (廃棄物処理法、食品リサイクル法)

◇通常の廃棄物
・通常の廃棄物を廃棄したいときの契約における注意点 (廃棄物処理法)
・通常の廃棄物を廃棄したいときのマニフェストにおける注意点 (廃棄物処理法)

◇特別管理産業廃棄物
・特別管理産業廃棄物を廃棄したいとき (廃棄物処理法)
などなど・・

 

 

この他にも実際に起こった以下のような不適正事例におけるリスク、またそのリスクに巻き込まれないための方法などについても、おいおい紹介していきたいと思います。
(以下、一例)
・産廃業者の行政処分による排出事業者への飛び火
・直近の廃棄物不適正事例の新聞記事、ニュース
・契約締結で実際にあった不適正事例
・マニフェストで起こりうるリスク

まず、ひとつ目のケーススタディとして、「<企業から> 家電製品を廃棄したいとき 」を紹介します。

<企業から> 家電製品を廃棄したいとき (家電リサイクル法、廃棄物処理法)

◆家電リサイクル法の対象製品

まず確認したいのが、企業から廃棄される際も、“一般家庭向け”に作られた家電製品であれば、家電リサイクル法の対象となるということです。一方、“業務用”の家電製品であれば、対象とはなりません。
よって、対象物か否かという判別は、一般家庭向けの製品なのか、業務用製品なのかということになります。http://www.rkc.aeha.or.jp/text/r_4list.html
(家電4品目一覧)

◇業務用、家庭用の区別
この区別は、その製品ごとに確認する必要がありますが、なかなか区別が難しいものは、そのメーカーに確認するほかありません。その一例として、冷凍庫の業務用、家庭用の区別は以下のサイトに載っております。http://www.rkc.aeha.or.jp/q_a/qa_s1002.html
(一般財団法人 家電製品協会 家電リサイクル券センター、Q&A)

 

◆家電リサイクル料金

家電リサイクル料金は、おおまかには以下のような料金体系となります。

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詳しくは、以下の家電リサイクルセンターの料金表でご確認ください。

クリックしてryoukin2013.pdfにアクセス

(リサイクル料金(再商品化等料金)一覧_2013)

 

◆廃家電の収集運搬 ~家電リサイクル法、廃棄物処理法~

廃家電の引き取り、収集運搬には、以下の方法があります。また、この場合には、家電リサイクル券の発行が必要になります。
・小売店による引き取り
・管轄する自治体に連絡し、引き取りについて問い合わせをする
・次項の産業廃棄物収集運搬業者による引き取り

 

◆産業廃棄物収集運搬業者による運搬(他の廃棄物との合い積み) ~廃棄物処理法、家電リサイクル法~

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前項のとおり、産業廃棄物の収集運搬業者でも収集運搬することができます。(他の廃棄物がある場合には、この合い積みの方が費用面においても効率的になります。)

ただしその場合には、他の廃棄物のマニフェストを交付するか、廃家電のみの運搬であれば、家電リサイクル券の発行が必要となります。

 

◆廃家電の処分業者 ~家電リサイクル法、廃棄物処理法~

廃家電の処分は、通常は、家電リサイクル法で定められた「指定業者」がその処分を行います。(家電リサイクル法)
ところが、産業廃棄物処理業者でも家電リサイクル法で定められた再商品化率がクリアできるような処分を行えるのであれば、その産廃処理業者でも処分ができるとされています。(廃棄物処理法)
これは、家電リサイクル法や廃棄物処理法を読み解いてもそのように解釈されますし、環境省のQ&Aでもそのことが記載されています。
http://www.env.go.jp/recycle/kaden/qa/q07.html#q39
(環境省、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)Q&A)

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◆結論 ~家電リサイクル法、廃棄物処理法~

以上の情報にプラスして契約締結の有無の情報を含めますと、以下のとおりとなります。

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以上のように、基本的には、企業から廃棄される廃家電の際にも、一般消費者同様に家電リサイクル券を発行する必要があり、家電リサイクル法で定められた指定業者により処分されます。

収集運搬については、他の産業廃棄物が運搬される場合には、その廃棄物と混載することも可能となります。
また、産廃処理業者でも再商品化率をクリアできる処理業者であれば処理が可能となります。
ということが、今回ご理解いただけたのではないかと思われます。

 

このように、今後はこのようなケーススタディ形式を用いて、よくあるケースや、皆さまが疑問に思われるようなケースを通して、各種法令のtask、注意点などを横断的にご紹介していきたいと思います。

なお、本コラムのアップは、月に2回のアップを目指しますので、その頻度で訪れていただければ幸いです。

 

平成25年8月16日
株式会社リーテム
マネジメント推進部
坂本裕尚
(図)池田翠