ケーススタディから学ぶ廃棄物の取り扱い(6) ~「建設廃棄物」の取扱い(廃棄物処理法、建設業法)~ 

今回のスタディは、前回のコラムで「建設工事」の定義について、次回のコラムでご紹介しますとお約束しましたので、この建設工事の定義についてご紹介します。

「建設工事」の定義

まず、廃棄物処理法で定める建設工事の定義は以下のようになっております。

(廃棄物処理法、第21条の3)
● 土木建築に関する工事
(建築物その他の工作物の全部又は一部を解体する工事を含む。)

となっており、これ以上の定義はどこにもありません。

では、この定義をできるだけ詳細に見てみますと、以下の工事となります。

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● 土木建築工事
● 建築物、工作物の解体工事
となります。

 

ここでまた疑問が浮かびました。

さて、「工作物」の定義とは一体なんでしょう?

この定義については、どこにも明記はされておりませんが、環境省から出されている通知等の中に、「工作物(プラント設備)」というのがありましたので、おそらくは大型の設備だろうというのが想像できます。

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従い、建設工事とは、

● 土木建築工事
● 建築物、工作物(大型のプラント設備のようなもの)の解体工事

と定義することができるものと思われます。

廃棄物処理法を読み解くと、この定義が導き出せましたが、果たしてこの定義でよろしいのでしょうか?

建設業法で定められている28業種、具体的には、「電気工事」や「内装仕上げ工事」など、大型の建設工事以外も、よくよく建設工事として世の中的に定義付けされています。

 

「建設廃棄物」の排出事業者

もともと、建設工事に伴って発生した建設廃棄物の排出事業者が、その建築物の所有者ではなく、「元請業者」となっている理由は、以下の理由によるものです。

(その建築物の所有者では、)
● 建設廃棄物として排出される種類、量、性状などがわからないから
● どのような処理方法が適切なのかわからないから
● いつ収集運搬業者を手配すればよいのかわからないから

この理由からすると、やはり「電気工事」でも「内装仕上げ工事」だとしても、その建築物の所有者では、その工事に伴って排出される廃棄物が
● どの程度の量が廃棄物になるのか、
● いつ処理業者を手配すればよいのか、
など、なかなかわかり得ないものと思われます。

とすると、やはりこれらの電気工事なども、建設工事として扱い、元請業者が排出事業者になるのが妥当であるものと思われます。

 

◆自治体の見解

実際に、数多くの自治体の廃棄物対策課にお伺いしましたが、多くの自治体の担当者は口を揃えたかのように、建設業法で定める28業種の工事はすべて廃棄物処理法でいう建設工事に該当します、と言っておられました。

◆国と自治体の役割

また、国と自治体の役割を整理しますと、法律を整えたり、通知を出すのは国の役割ですが、実際に排出事業者や処理業者に指導などするのは自治体になります。

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◆結論

従い、法律ではそういうものの実際の運用はこの自治体の言うとおりに運用することが必要になりますので、前述の自治体の担当者の言うとおりの運用でよろしいものと思われます。

 

建設工事の定義の話は以上となり、今回は少しニッチな話ではありましたが、ここらの話はどこも紹介していないものと思われましたので、ご紹介させていただきました。

 

平成25年10月31日
株式会社リーテム
マネジメント推進部
坂本裕尚
(図)池田翠