令和8年1月1日施行の廃棄物処理法の施行規則の改正により、産業廃棄物の委託契約書(収集運搬委託契約、処分委託契約)の法定記載事項に、第一種指定化学物質(PRTR法対象物質)に関する情報の記載が追加されました。
~目次~
改正の背景と目的
委託契約書への“追記”が求められる事業者は誰か
追加された法定記載事項は何か?
未契約書変更はいつ行うべきか:経過措置
改正の背景と目的
もともと、産業廃棄物を他者に委託する際に結ぶ契約書に記載すべき事項が法律で定められています(施行規則第8条の4の2)。契約書に記載すべき事項のうち、廃棄物の性状や取り扱う際の注意事項など、廃棄物の適正処理に必要な情報を委託契約書に記載することを義務付けています。なお、化学物質、特に汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリなどについては、WDS(廃棄物データシート)を作成して契約書に添付することを環境省は推奨しています。ただし適正処理に必要な情報が契約書に記載されていればWDSの添付は義務ではありません。
背景として、平成24年(2012年)5月に化学メーカーが廃棄物処分業者に委託した廃棄物から出た、塩素と反応するとホルムアルデヒドを作り出す化学物質が利根川水系に流入し、1都4県の浄水場に大きな影響を与えた事故がありました。この事故は、廃棄物に含まれる化学物質の情報が事前に廃棄物処分業者に伝達されていなかったために発生しました。このため、環境汚染事故を未然に防止することを目的に、平成25年(2013年)6月にWDSガイドラインが改定されました。
環境省の実施したアンケート調査によると、その後も、排出事業者から廃棄物処分業者への情報伝達が十分でないことを要因とした環境汚染事例が発生しています。 そのため、排出事業者が廃棄物に含まれる化学物質を自主的に把握・管理し、委託相手に伝達する義務がより厳格になったのです。これに伴いWDSガイドラインが再び改定され、第3版が発刊されました。

東京都水道局資料
環境省資料
委託契約書への“追記”が求められる事業者は誰か
全ての事業者、委託する全ての廃棄物が本改正の対象ということではありません。下図の3つの要件を満たす場合のみが対象です。化学物質排出把握管理促進法に基づくPRTR制度の対象でない排出事業者は、現行の産業廃棄物処理委託契約書の記載を変更する必要はありません。

PRTR 制度とは、 健康や環境に影響を与える可能性がある化学物質の工場等からの移動量を事業者が把握し、管轄の都道府県に届け出る制度です。対象となる事業者は、食品製造業、精密機械器具製造業、電気機械器具製造業を含む23の製造業、および、鉄道業、産業廃棄物処分業 等、政令で指定した24業種であり、常時従業員を21人以上雇用していて、第一種指定化学物質を年間1トン以上(特定第一種は0.5トン以上)取扱いのある事業者です。第一種指定化学物質には石綿、鉛、ダイオキシン類、PCBなどがあります。なお、事業者による取扱いの過程で対象化学物質が環境中に排出される可能性が少ないと考えられる製品、例えば固形物や、密閉された状態で使用するもの(例:電池)や、再生資源(例:金属くず、空缶等)等、把握の対象外とされているものもあります。
参考:PRTR制度の対象事業者(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/prtr/3.html
第一種指定化学物質、対象製品、例外(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/prtr/2.html
追加された法定記載事項は何か?
PRTR制度の対象事業者が、基準値を超える(上述の図内を参照)第一種指定化学物質を含む、または付着している産業廃棄物を委託する場合、収集運搬委託契約書と処分委託契約書のどちらにも、以下の3つを記載しなければなりません。なお3つ目の、対象化学物質の量・割合の判断においては、実測値に限らず、文献値・含有率・SDS(安全データシート)情報などによる推定値も認められています。

改正に関するFAQ(環境省) https://www.env.go.jp/content/000359023.pdf
未契約書変更はいつ行うべきか:経過措置
本改正は既に令和8年1月1日に施行されていますので、令和8年1月1日以降に新規で結ぶ委託契約書には初めから本改正の通りの記載が必要です。ただし、施行時点で「既に締結されている契約」については、次に契約更新する迄の間は旧契約のまま有効であり、更新日から追記の義務が生じる、という経過措置が設けられています。例えば、令和8年1月1日よりも前に締結済みの契約書の場合は、契約期間満了となり再契約するタイミングに、また、自動更新契約の場合は次回更新の時に、改正内容に則った記載をすればよいということです。

このような法的な経過措置があるゆえに、時間の猶予があると安心し、契約更新の際に対応をうっかり忘れてしまうことも考えられます。 産廃を委託する際に結ぶ契約書については、法定記載事項の漏れが無いかを予めチェックして作成した自社雛形を使うことを社内ルールにしている企業は多いことでしょう。企業の皆様には、今回の改正内容が自社に該当するかをお調べのうえ、早めの契約書雛形の改定をお薦めします。
最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。
ニュースレター_2026.2
令和8年2月28日
株式会社リーテム
サーキュラーエコノミー推進部
杉山 里恵
(図)加藤 翠
リーテムのサービスのご紹介

太陽光パネル再資源化サービス
https://www.re-tem.com/service/solar-panel/
広域認定申請支援サービス
https://www.re-tem.com/service/circular-support/
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