読み解く!廃棄物処理法(1)  ~廃棄物処理法を読む~

初めまして、株式会社リーテム、法務担当の坂本裕尚と申します。
本コラムは、廃棄物処理法を読み解きにくい、分かりにくいとの多くのお言葉にお応えし、排出事業者様の立場に立ち、どなた様でも分かりやすく理解していただけるよう解説させていただくことを目的としたコラムです。

またさらにその「根拠」となるものをできるだけ多く示すことにより、理解度を深めていただきたく、さらに私どもの恣意的な、または偏った解説ではないということも併せてご案内したいと思います。
「根拠」については、廃棄物処理法の場合、明確に定義されていなかったり、環境省からの通知などについても広義的な表現が多いため、なかなか個々のケースに当てはまらないものが多分にあるものと思われます。そのような場合には、多く用いられている解釈、もしくは他社の事例などを紹介することにより、お客様それぞれにおいてご判断される材料を揃えてご紹介できればと思います。

【グレーな部分が多い廃棄物処理法】
前述で申し上げました廃棄物処理法の読み解きにくさという点は、例えば、以下の法律の文中からもいわゆるグレーな部分が多くあることが予想できるものと思われます。

■「廃棄物の定義」について
≪廃棄物の定義≫
第2条
廃棄物とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。
(中省略)
4  この法律において「産業廃棄物」とは、次に掲げる廃棄物をいう。
一  事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物
二 ・・・・・

■「排出事業者の定義」について
「排出事業者」とは、誰なのかという定義付けはありません。
(建設廃棄物の排出事業者については、平成23年4月の法改正で定義付けされました。)

廃棄物処理法を読み解くのに一番の基準となる『「廃棄物」の定義』であるのに、このたった数行しか定義付けされていません。一体、事業活動とは、どこからどこまでが事業活動なのか…? 液状とあるが、事業活動で使用した排水は下水に流れているが、産業廃棄物として処理委託しなくてもいいのか…などなど。
また「排出事業者」の定義について、誰が排出事業者なのかはどこにも定義付けされていません。(平成23年4月の法改正で、建設廃棄物のみ定義付けされました。)
これらのことからも、その他諸々についても明確に定義付けされていないものがそう多くないことが予想できますし、廃棄物処理法はいわゆるグレーな部分が多分にあることがここからも見てとれるものと思われます。

【豊富に見えて豊富ではない”根拠”】
廃棄物処理法を読み解くのに、廃棄物処理法の法律、施行令、施行規則、の3つの法令がありますが、それに合わせて環境省発信の排出事業者向けの「通知」、及び自治体向けの「通知」、「疑義回答」などがあります。さらに裁判の判例もその根拠となり、排出事業者などはそれらの法律や通知などの根拠を基に判断することになります。
しかし例えば、自治体向けの通知、疑義回答などは、一般向けに公表されていない情報となりますし、裁判の判例についても公開はされてはいるでしょうが、世の中の多くの人は知り得ないことが往々にしてあります。
廃棄物処理法にしても、とても読み解きにい構成となっていますし、通知にしても数多くの通知がたくさん出されています。さらに疑義回答に至っては、一般の排出事業者ではなかなか入手しにくいものとなっています。
弊社では、それらの「根拠」となる情報を出来るだけ多く入手し、廃棄物処理法を読み解き、リスクも踏まえた観点で解釈することなどにより、お客様排出事業者の判断となる材料を揃えるようにしております。

また、「根拠」については自治体の判断というのも、その根拠となりますが、自治体によって判断がそれぞれ異なるという場合もよくあります。例えば、事務所でのプリンターのトナーについて、廃棄物の種類をある自治体に聞いたところ、ある自治体については、「汚泥」との判断、ある自治体については、「廃プラスチック類」との判断。このように自治体の解釈であったり考えが様々で、異なることが往々にしてありますので、排出事業者自らもできるだけ多くの正確な根拠を取り揃えておくことが必要になるものと思われます。

本コラムでは、そのような排出事業者の立場に立った有益な情報を今後掲載していく予定ですので、どうぞご期待ください。

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株式会社リーテム
経営管理部
法務G
坂本裕尚