アップサイクル(Upcycling)をご存じですか。ファッションやインテリア、雑貨などをはじめ、さまざまな領域で、持続可能なモノづくりの方法論のひとつとして注目されています。現在、国内外の企業が大量生産・大量消費の経済システムを脱却して、廃棄物の発生を最小限化した「サーキュラーエコノミー(=Circular Economy)」を目指して、新しいビジネスモデルを取り入れています。その手法の1つであるアップサイクルについて紹介します。
アップサイクルと、リユース・リサイクルの違いとは?
アップサイクルとは、従来から行なわれてきたリユースやリサイクルとは少し異なり、要らなくなったものに新しいアイデアや発想によって元の製品には無かった用途を可能にしたり、異なる分野の製品に転換するなどして、元の製品よりも価値の高いモノを創り出すことを目指す取り組みのことです。
リユース(繰り返し使う)や従来のリサイクル(原料に戻す、または一度原料化して同製品・類似製品に戻す)には、資源の無駄を減らすという良い面がある一方で、材質や製品によっては元の製品より低品質あるいは低価値になってしまうという一面もありました。そのことを「ダウンサイクル(downcycling)」と呼びますが、この言葉の対比として、アップサイクル(upcycling)という言葉が生まれました(※)「リサイクルによって製品をアップグレードする」を表しています。
アップサイクル製品の事例
欧州には20年にわたり人気のあるアップサイクル製品を販売するブランドがあるほか、日本国内にもアップサイクル製品を販売するブランドやショップが増えています。その一部をご紹介します。
使い古されたトラックの幌(ほろ)布、自動車用シートベルト、自転車のチューブなどを用いた、実用的かつデザイン性の高いバッグで、世界で知られている。
https://www.seal-store.net/shopbrand/57832
不要になったタイヤのチューブを使用してバッグを製作するブランド。黒を基調としたビジネスユースのバッグから、ショルダーバッグやリュックタイプまで豊富なラインナップ。
使用済ペットボトルから作られた再生糸を用いた女性用シューズのブランド。「裸足よりも楽!」というほど軽量。シンプルでスタイリッシュなデザインが揃っている。
フードロス(規格外の食材やカット野菜の切れ端)を染料に使用した靴下や、廃棄衣料品や繊維工場の端材に、使用済みペットボトルから作った再生ペットをブレンドした靴下を販売する雑貨ブランド。
創業20周年のスニーカーブランドは、サボテンを材料にしたカクタスレザーを靴のアッパーに使用した、高い耐久性のあるスニーカーを販売。靴ひもにはプラスチックごみを利用している。
アップサイクルなアイデアを実際のモノづくりに活かすには、高い技術力が求められるだろうと思います。世界中の多くの企業が努力を惜しまず、不要となったものからこれまでにない新しい製品を産んでいることに感動します。一方で、製品として一定量を継続して製造・販売するには市場ニーズが増えないとなりません。私たち消費者がアップサイクルな商品の情報にアンテナを張り、実際に購入することで企業の努力に応えることになりますし、後続の製品が増えていくでしょう。それは資源の無駄を減らすこと、資源循環(サーキュラーエコノミー)に貢献することに繋がると感じます。
アップサイクルは衣類や雑貨の分野だけとは限りません。古民家の内装をリノベーションしてカフェやレストランに変えることもアップサイクルの一つでしょう。皆様もアップサイクルの事例を探してみてはいかがでしょうか。
最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。
ニュースレター_2021.5
令和3年5月26日
株式会社リーテム
サスティナビリティ・ソリューション部
杉山 里恵
(図)加藤 翠
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