廃水銀(蛍光灯など)にかかる省令の改正

平成25年10月の水俣条約により、水銀廃棄物の適切な管理が求められ、廃棄物処理法の省令がまもなく改正されます。本コラムでは、その省令改正の中の、企業から排出される産業廃棄物に限定し、排出事業者にかかりそうなところをピックアップして、ここに紹介することにします。

【1】水銀使用製品産業廃棄物の対象の指定

水銀が使用されている製品が産業廃棄物になった場合、以下のものを「水銀使用製品産業廃棄物」と定義し、通常の産廃の処理基準よりも厳しい処理基準を課すこととしている。

◇主な水銀使用製品

・水銀電池
・蛍光ランプ
・気圧計、湿度計
・水銀体温計
など

 

【2】「1」の水銀使用製品産業廃棄物の場合の対応

「1」の水銀使用製品産業廃棄物に該当する場合、以下の契約書やマニフェストへの記載、さらに保管基準も必要な措置を講ずることなどの対応が必要になる。しかしここで注意したいのが、あくまでに産業廃棄物としての扱いに変わりはなく、排出事業者の段階では特別管理産業廃棄物になることはない。

①契約書・・廃棄物の種類の欄などに、水銀使用製品産業廃棄物であることを記載すること
②マニフェスト・・廃棄物の種類の欄などに、水銀使用製品産業廃棄物であることを記載すること
③WDS(廃棄物データシート)・・「廃棄物情報の提供に関するガイドライン」に明記される予定
④保管・・水銀使用製品産業廃棄物がその他の物と混合するおそれのないように、仕切りを設ける等必要な措置を講ずること

 

【3】水銀の回収を義務付ける水銀使用製品産業廃棄物の対象

「1」の水銀使用製品産業廃棄物のうち、水銀の割合が一定以上である場合には、水銀の回収を義務付けており、以下の対象物の回収、その回収方法を定めている。

◇主な水銀の回収を義務付ける水銀使用製品産業廃棄物の対象

・気圧計、湿度計
・水銀体温計
など

◇水銀回収方法

・ばい焼設備を用いてばい焼し、水銀ガスを回収する設備を用いて水銀ガスを回収
・当該水銀廃棄物に封入された水銀を分離し、水銀が大気中に飛散しない方法

 

【4】まとめ

◇水銀電池、蛍光灯など

「1」のとおり、水銀電池や蛍光灯などは、水銀使用製品産業廃棄物と指定されましたので、「2」にあるとおり、契約書やマニフェストへの記載、保管基準の混合しないようにすることなどの対応は必要となります。ただし、「2」③のWDS(廃棄物データシート)は“ガイドライン”ですので、必ずしも使用しなければならないということではありません。

◇水銀体温計、気圧計、湿度計など

「3」のとおり、これらについては水銀の回収が義務付けられていますので、ばい焼設備を有し、水銀回収を行う処理業者に対して処理委託する必要があります。

 

□「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」等に対する意見募集(パブリックコメント)について

http://www.env.go.jp/press/103098.html

 

□施行予定

平成29年10月1日

 

最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。

ニュースレター_2016.10

 

以上が、2016年10月11日に環境省より発表された省令改正の案となります。

もしこの改正案に異議を唱えたいという方がいらっしゃれば、パブリックコメントに応えらえてもよろしいかもしれませんが、基本的にはこの方向性で改正されるものと思われます。

また、省令改正の施行予定が来年の10月ですので、それまでに保管基準の対応や契約書などのひな形の変更などが必要となるかもしれませんので、ご準備を。。。

平成28年10月18日
株式会社リーテム
法務部
坂本裕尚
(図)池田翠