食品廃棄物の横流し再発防止策(法改正骨子案)

7月6日、農水省会議室で、食品リサイクル法の省令改正の検討審議会の食品廃棄物専門委員会が開催されました。以下は、その審議会の内容となり、まだ骨子案であるものの、法改正などの方向性は確認できましたので、ここに紹介します。

直近の法改正予定の法令

◇法令・・食品リサイクル法の省令である「食品循環資源の再生利用等の促進に関する食品関連事業者の判断の基準となるべき事項を定める省令」

排出事業者に関係するところ(ポイント)

①収運・・食用と誤認されないような適切な措置や、契約どおり収集運搬されるよう確認する措置

②処分・・食用と誤認されないような適切な措置や、契約どおり再生利用されるよう確認する措置

③料金・・適正な料金で再生利用を行っている委託先を選定

④確認・・処理終了後に食品廃棄物が再生利用されているか飼料業者等に確認

⑤電マニ・・処分方法や処理量を記載することによって、不正を検知できる電子マニフェスト

詳細

①、②について・・

・(原則的に)食用と誤認されないような適切な措置とあるので、ある程度物理的破壊を行わないといけない

・現段階での骨子案では上記のとおり「・・措置“や”、・・」となっており、この“や”が示す意味は、「or」なのか「and」なのかが示されていない

「or」の場合

物理的破壊を行わなくとも「契約どおり収集運搬(処分)されるよう確認する措置」がなされればOK ・この「契約どおり収集運搬(再生利用)される・・」とは、砕いて言うのであれば「問題なく収集運搬(処分)されることを確認」ということ。
・この“問題なく”というのは、この骨子案の具体的取組事例の中を見ていくと少し紐解けるが、「適切な運搬ができる車両」や、「再生利用を行うキャパシティを確認すること」、「再生利用の実施状況を確認できる情報公開などがされているかの確認」など、様々な方法があり、“これ”というように限定されているわけではない。
「and」の場合

物理的破壊も必要となるので、それが現実的に対応可能かをそれぞれの現場で確認すること必要

③適正な料金について・・

今回の食品廃棄物を横流ししたダイコー社では、kgあたり1ケタの処理費だったとの話もあります。国や自治体が排出事業者責任を果たすというところで毎回のようにまず見るところは、「適正な処理料金」を負担しているかなのです。

では、この適正な料金はいったいいくらなのでしょうか?
結論から申し上げますと、一概には言えないのです。それは地域によっても異なり、廃棄物の種類、排出量、荷姿、処理方法などによっても全然異なってきてしまうので、どうしても一概には言えなくなります。

今回の審議会でもこの適正な処理料金の議論はありました。実地確認(監査)の有無、マニフェストの最終処分の確認もそうですが、まず一番目に「適正な処理料金」を負担しているかどうかがよく見られます。
したがい、もし安すぎる処理業者に委託しているのであれば、それは見直しをしておかれる方がよいかもしれません。

 

④再生利用されているか確認について・・

この「確認」はどの程度の確認なのか、まだ明らかになっていません。
今後の審議会などの経過を見ていきたいと思います。

 

➄電子マニフェストの強化について・・

この電子マニフェストの強化については、処理業者による処分方法の入力、処理量の入力などが必要事項となり、それを排出事業者が確認するというようなシステムに変更となるような話もあります。しかし、これについては、今回のダイコー社が搬入日の2週間後に処理の有無にかかわらずマニフェストD票、E票を返送したという話もありますので、もしかしたら簡単に偽造、偽報告をすることが可能となってしまうかもしれません。

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その他、今回の改正は、そもそも「食品廃棄物が再生利用される」場合の改正であるため、再生利用にあたらない焼却処分される食品廃棄物には適用されない可能性もあります。このあたりも含めて次回の9月8日の審議会の内容や進捗を確認してきたいと思います。

また、本コラムの情報は、先の審議会の骨子案ではありますが、今後の審議会などによって変更になることもありますので、その点、ご留意ください。

 

平成28年7月11日
株式会社リーテム
法務部
坂本裕尚
(図)池田翠