リユース新時代 ~リユース促進の将来像とは~

今年6月17日に、環境省主催による「使用済製品のリユースの促進に係る第1回検討会」が開かれました。国は、令和7年度中にリユースの促進に向けたロードマップの策定を目指すとのことです。近年はフリマアプリにより、手軽に個人間で所有品の売買ができるようになりました。約3兆円規模と言われるリユース市場は今後、国の後押しを得て更に成長し、これまで以上にリユースが人々の暮らしに定着する時代が到来しそうです。

~目次~
・サーキュラ―エコノミーへの移行加速化
・2030年国内リユース市場は約4兆円規模の予想
・国が示すリユース促進の意義とメリット
・リユースをめぐる目指すべき将来像とは
・リユース促進に向けた国のロードマップ
・製品メーカーが求められること

 

サーキュラ―エコノミーへの移行加速化

令和6年12月27日に閣議決定した 「循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行加速化パッケージ」 の一部として、循環経済関連ビジネスの市場規模を2030年までに現在の約50兆円から80兆円への拡大を目指すことや、付加価値が高く利用しやすいリユースビジネスを支援すること等が示されました。

このうちリユースについては、令和7年1月から、環境大臣がリユース市場関係者と直接意見交換を行う「リユース促進に向けた懇談会」 が計4回開催されました。続いて令和7年6月17日には、「令和7年度使用済製品のリユースの促進に係る第1回検討会」が開かれ、「リユース等の促進に関するロードマップ」 の方向性が議論されました。国は、令和7年度中のロードマップ策定を目指すとのことです。

 

2030年国内リユース市場は約4兆円規模の予想

民間調査の結果によると、2023年における国内のリユース市場規模は3兆1,227億円でした。ここ数年の伸びは大きく、2030年には約4兆円になる(中古住宅市場と同等)と予想されています。

また、中古品(使用済製品と未使用品の両方を含む)の買取りと販売を行うためには、古物営業の許可が必要ですが、警察庁の令和5年の報告で古物営業許可件数の推移をみると、2023年末における許可件数は52万9,024件で、前年から約4.5万件(約9%)増加していました。古物の買取りを業として行う法人または個人は年々増加傾向です。

一方で、 環境省が令和6年度に実施した消費者アンケートによると、中古品の購入経験の質問に対し 「過去1年間では利用したことはない」 との回答が最も多く、71.2%であり、消費者の約7割はリユースを経験していないという結果であったそうです。この結果をポジティブに捉えれば、リユース市場はまだまだ伸びしろがあるとも言えそうです。

出所
-令和7年度使用済製品のリユースの促進に係る第1回検討会資料
-リユース経済新聞 「リユース市場データブック2024」
-警察庁 「令和5年中における古物営業・質屋営業の概況」

 

国が示すリユース促進の意義とメリット

使用済製品をリユースすると、製品の使用年数が延長され、長期的には廃棄物の減量や資源の有効活用につながり、かつ新たな製品の製造に伴うCO2排出を削減できるというメリットがあります。国はこの他にも下表のような使用済製品のリユースによって得られる効果があると考えています。

 

リユースをめぐる目指すべき将来像とは

国が長期で目指している将来像は下図のとおりです。リユース市場の事業者、地方自治体、消費者のそれぞれが、リユース促進に向けて取り組むための指標を今後設定する計画とのことです。

 

リユース促進に向けた国のロードマップ

2030年までに実施すべき対策の方向性の案として、①消費者のリユース取組の促進、②リユース市場の拡大に向けた需要創出、③リユース事業の信頼性の向上、④リユース促進に向けた基盤づくり、が挙がっています。今後開かれる有識者による検討会で、これらの方向性を踏まえたロードマップの素案が議論・検討されるとのことです。

 

製品メーカーが求められること

国が目指しているとおりに、リユース市場が拡大したら、すでに一部の消費者がそうしているように、今後は多くの消費者が、製品を選ぶ時に、新品かあるいは質の良いリユース品のどちらを購入するかを当たり前のように比較検討するようになるでしょう。企業がユーザーから買い取った製品を、修理やクリーニングなどで新品同様にして販売する C to B to C モデルのビジネスに対するニーズが拡大していくことが考えられます。製品メーカーにとっては、「リユースを前提とした、分解・メンテナンスをし易い製品の設計」 に加えて、「どうしたら新品が売れるのか」 も課題になるでしょう。

最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。
ニュースレター_2025.6

令和7年6月30日
株式会社リーテム
サーキュラーエコノミー推進室
杉山 里恵
(図)加藤 翠

 

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