この10年で急速に普及した太陽光発電設備ですが、2030年からは寿命を終えた太陽光パネルの廃棄が急増すると見込まれています。今月は太陽光パネルの廃棄の現状と課題をお伝えします。
太陽光発電設備の廃棄における課題
太陽光発電の普及のきっかけは、2009年に始まったFIT制度(備考※)です。太陽光発電技術と生産で世界トップクラスの日本が、導入量では伸び悩んでいました。FIT制度は再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)の導入拡大を目的に出来た制度です。その後、2011年の東日本大震災による影響も重なり、太陽光発電は急速に広まりました。しかし、太陽光発電設備の寿命時期が近付いてくる中、廃棄については課題があります。
住宅用太陽光発電設備は「一般廃棄物」?
「一般家庭の屋根に設置されている太陽光パネルは一般廃棄物ではないのか?」という質問を受けることがありますが、解体・撤去の工事から発生する太陽光発電設備は、建設系廃棄物の場合と同様に、解体・撤去工事の 「元請業者が排出事業者」として処理責任を負う 「産業廃棄物」です。メガソーラー等の事業系の太陽光発電設備についても同様です。
太陽光発電設備は、主に太陽電池モジュール、接続箱、パワーコンディショナー、変電設備等から構成されており、畳1枚ほどの大きさの太陽光パネルは、メーカーは太陽電池モジュールと呼んでいます。太陽電池モジュールは、産業廃棄物の種類としては、「金属くず」「ガラス・コンクリート・陶磁器くず」「廃プラスチック類」の混合物に該当します。
太陽光パネルの望ましい処理とは?
太陽光パネルは、専門家によると20~30年で発電効率が5%程度しか低下しないと評価されており、リユースができるものもあります。リユース不可の場合には、マテリアルリサイクルが理想です。なお、有害物含有のものは、破砕・溶融処理によるリサイクルや管理型埋立等が適正となります。
2030年になる前に太陽光パネル廃棄の前倒しもあり?
一般的な太陽光パネルの期待寿命は20~30年ですが、自然災害による太陽光パネルの大量の破損や、経年の事業環境の変化により「設備の処分」という選択をする事業者が出て来ることも想定すると、太陽光パネルの廃棄の波が機器設備の寿命を待たずに起きる可能性はゼロではありません。廃棄量増加に伴い、不適正処理や不法投棄、放置等の件数が増えることが懸念されており、処分事業者には早急な適正処理方法の構築が求められています。
太陽光パネルのリユースの促進とマテリアルリサイクル技術の普及が、日本の廃棄物分野における緊急課題の1つと言えるでしょう。
最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。
ニュースレター_2019.7
令和元年7月19日
株式会社リーテム
サスティナビリティ・ソリューション部
本間 蓉子
(図)加藤 翠
リーテムのサービス紹介
太陽光パネル、リユース・リサイクル