CO₂を回収し利用するカーボンリサイクル

2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けて、業種の垣根なく温室効果ガス排出量削減の取組みが拡がっています。CO₂排出量の削減方法の例として多くの人が最初に思い浮かべるのは、太陽光、風力、バイオマス等の再生可能エネルギーの利用だと思います。これはCO₂の発生源を減らすという考え方です。一方で「発生するCO₂を大気に放出しないで利用する」というアプローチがあり、カーボンリサイクルと呼ばれています。

 

カーボンリサイクルとは

CO₂を資源として捉えて分離・回収することで大気中への排出を抑えるのがカーボンリサイクルの考え方で、分離・回収したCO₂を化学製品や合成液体燃料の原料などに利用する(リサイクルする)ものです。

 

CO₂を大気から取り出して貯める 「CCS」 と 貯めたCO₂を利用する 「CCUS」

「CCS」は Carbon dioxide Capture and Storageの略で、「二酸化炭素の分離回収および貯留」を意味します。発電所や工場などから排出されたCO₂を、ほかの気体から分離して回収し、地中深くに圧入して貯留する技術です。

一方、「CCUS」 はCarbon dioxide Capture, Utilization and Storageの略で、 「二酸化炭素の分離回収、利用及び貯留」 を意味しています。分離回収したCO₂の用途としては、産業用シールドガスや炭酸水、ドライアイス原料にする、またCO₂を固体に変化させてカーボン製品にする等があります。

 

 

CO₂を大気中から吸着する 「DAC」

最近では、大気中のCO₂を直接回収して利用するDAC(Direct Air Capture)と呼ばれる技術も注目されています。DACは、吸収液や吸着材に大気中のCO₂を吸着させて、それを加熱や減圧等をすることで吸収液や吸着材からCO₂を分離・回収するという方法です。CO₂排出の多い火力発電所や工場などからCO₂を回収する技術は一般的に「CCS」と呼ばれ(本コラム前述)、大気中から直接CO₂を回収するDACとは区別して語られる場合が多いです。

スイスの企業、クライムワークス社がDACの商業用プラントを開発しており、欧州の約600人分のCO₂排出量に相当する年間最大4,000トンのCO₂を大気中から直接取り出して貯留することの出来る世界最大規模のプラントを2021年9月に稼働させました。

CO₂貯留地としてアイスランドが選ばれた理由は、地質条件が適していることに加え、同国は地熱エネルギー開発の最先端にあることです。プラントを動かすのに使用するのは再生可能エネルギーであることが大前提のためです。

 

編集後記

CO₂を除去するさまざまな技術の開発が既にかなり進んでいることに感銘を覚えましたが、大気中から除去するCO₂の量よりも、除去プラントの稼働で排出する温室効果ガスの量が多ければ意味がないので、やはり再生可能エネルギーの大量供給は必須だということを再認識しました。

 

最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。
ニュースレター_2022.1

 

令和4年1月26日
株式会社リーテム
サスティナビリティ・ソリューション部
杉山 里恵
(図)加藤 翠

 

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