県外産業廃棄物搬入の事前協議

一般に「事前協議」と言うと、物事を円滑に進めるために、関係者が事前に話し合いをすることを指しますが、廃棄物の世界では「事前協議」と言うと、とある制度を意味しています。

 

県外産業廃棄物の搬入規制

産業廃棄物を、都道府県の境を超えた他地域から中間処理や最終処分の目的で搬入しようとする場合に、都道府県や政令市から事前の届出や協議を求められることがあります。それらの事前の手続きを総称して「事前協議」と呼んでいます。

「事前協議」の目的は、産業廃棄物の不法投棄やその他の不適正処理の防止、産業廃棄物の種類や量の把握、県内の最終処分施設の延命などです。これは全国統一のルールではなく、自治体が条例や指導要綱などに定めているもので、具体的な内容は自治体によって異なります。また、そもそもそのような制度を導入していない自治体も多くあります。

例えば、事前協議制度を導入している自治体の中でも、産業廃棄物の排出事業者が届出や申請を行う場合と、搬入予定先の中間処理事業者が申請者になる場合があります。また、県内の中間処理施設に搬入する場合には事前協議は不要だけれど、最終処分施設への搬入には事前協議が求められるケースや、実際に搬入した量の報告を求められるケースもあります。その他にも、茨城県のように、優良産廃事業者認定を受けている施設への搬入の場合は、事前協議が免除される自治体もあります。平均して、事前協議の申請の受理には約1週間~1ヶ月かかります。

 

 

事前協議、事前届出制度の導入一覧

本年5月に筆者が調べた時点では、全国で約70の自治体(都道府県、政令指定都市、中核市)が、県外で発生した産業廃棄物の搬入について、事前の協議もしくは届出を行う制度を運用しています。

(※下表に緑色で示します)

事前協議制度があることを知らずに委託取引を進めてしまい、後から条例違反であるとして、行政指導を受けたり、罰則が適用される事態になる、ということも考えられます。排出事業者の皆さんは、他県の廃棄物処理施設に廃棄物を委託なさる時には、あらかじめ、関係自治体の廃棄物条例、廃棄物指導要綱等をホームページで調べるか、直接自治体に問合せをして確認なさることをお薦めします。

 

編集後記

自治体の定める事前協議制度のみならず、企業は自社の事業活動で不要になった、産業廃棄物の処理を他社に委託する際には、気を付けなければならないことがたくさんあります。それらのルールのほとんどは国の法律(廃棄物処理法)によって定められていますが、今回ご紹介した事前協議制度のように都道府県や政令市が定めるものもあり、なかなか全てを把握するのは大変です。当社では、企業の廃棄物管理ご担当者向けのオンライン研修・対面研修サービスを提供しています。ご関心のある方は下記URLにアクセスなさってみてください。

最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。
ニュースレター_2023.5

 

令和5年5月30日
株式会社リーテム
サーキュラーエコノミー推進室
杉山 里恵
(図)加藤 翠

 

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