食品リサイクル法の判断基準省令等の改正にかかるガイドラインについて

以前のコラムでも、食品リサイクル法の判断基準省令等が改正になりました。とご案内をしましたが、その省令等の改正にかかるガイドラインがこの度環境省から公表されましたので、その紹介をします。

■食品リサイクル法の判断基準省令等の改正及び食品関連事業者向けガイドラインの公表について

http://www.env.go.jp/press/103553.html

◇省令等の改正概要

  1. 食品関連事業者が食品循環資源の再生利用を実施する際、不適正処理がなされないよう適切な措置を講ずる。(再生利用の阻害にならないように)
  2. 食品廃棄物の収集・運搬時や特定肥飼料等の製造時に、食品廃棄物の性状や発生の状況を勘案し、食用と誤認されないよう適切な措置を講ずる
  3. 食品関連事業者が肥飼料などの製造を委託する場合は、適正な料金で再生利用を行っている委託先を選定する
  4. 処理委託先に対して、委託内容どおりの収集運搬、飼料肥料化がされていることを確認する措置を講ずる

http://www.env.go.jp/press/files/jp/104602.pdf

 

◇食品関連事業者向けガイドラインの概要

1)全ての食品関連事業者に求められる取組

  • 転売防止の観点でもまずは食品リサイクルの適確な実施の確保のための取組を徹底する必要がある。
  • 自らの事業に伴って排出された食品廃棄物の処理について、排出事業者責任を重く再認識する。
  • 再生利用事業者等との信頼関係の強化等により食品リサイクルに主体的に取り組む。

2)本事案を受けた追加的な転売防止措置

  • 廃棄される食品の性状(固形・液状等)、荷姿、消費・賞味期限の長さ、発生量とうに応じてあるいは排出される場面に応じて、転売のリスクを考慮しつつ、追加的に転売防止措置を検討する。
  • 転売のリスクが相対的に高いと考えられる場合に、通常の業務管理に加え、取組を柔軟に選択して実施する。
  • 食品リサイクルの取組の促進と転売防止のための措置を同時に達成するよう取り組む。

その他、(3)として、具体的取り組み事例が紹介されています。

http://www.env.go.jp/press/files/jp/104603.pdf

 

 

さて、約1年前の大手カレーチェーンの廃棄されるはずのビーフカツなどが不正に流通した事件の結末ですが、元処理業者に対する判決と、仲介業者に対する判決がそれぞれ以下のように、「詐欺罪」として名古屋地裁から判決が下されました。

 

■廃カツ転売、元業者に有罪判決 名古屋地裁(2017.1.27)
仲介業者の被告は「詐欺罪」に問われ、1月27日に名古屋地裁から「食品への消費者の信頼をないがしろにする犯行で悪質」として、懲役2年6月、執行猶予3年(求刑懲役3年2月)と判決。

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2017012790121542.html

 

■廃棄カツ横流し、処理業者会長に有罪判決 名古屋地裁(2016.12.16)
詐欺罪などに問われた産業廃棄物処理業者の会長の被告に対し、名古屋地裁は16日、懲役3年、執行猶予4年、罰金100万円(求刑懲役3年6月、罰金100万円)と判決。法人に対しては罰金50万円(求刑罰金50万円)と判決。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFD15H2D_W6A211C1000000/

 

以下は、環境省作成のガイドラインの中の一文です。

「そもそも廃棄物の処理には、不適正な処理をすることによって利益を得る一方で、重大な環境汚染を引き起こすという構造的特性があります。このため、排出事業者も、その事業活動に伴って生じた廃棄物の処理を委託する場合であっても、再生利用事業者との信頼関係を基礎に、廃棄物処理の根幹的業務を自ら実施していく体制を整備する必要があります。」

ここでも表れているように、廃棄物処理業者というのはその構造的特性上、不適正処理を招きやすいというところがありますので、排出事業者においては、処理業者とより信頼関係を築き、廃棄物管理のリスクを重く認識し業務を行う必要があるものと思われます。

最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。

ニュースレター_2017.1

 

平成29217
株式会社リーテム
法務部
坂本裕尚
(図)加藤翠