読み解く!廃棄物処理法(20) ~不適正事案~

今回のコラムでは、先日の新聞、ニュース報道でもありました大手ハウスメーカーの無許可業者への委託、並びに不法投棄等で、被疑者3名を逮捕、被疑法人3社と被疑者3名(平成26年10月23日現在)が書類送検されるという事件についてご紹介します。

大手ハウスメーカー(A社)及び解体・産廃ブローカーが絡む組織的な廃掃法違反事件

事件の概要は以下のとおりです。

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◇事案の概要(警視庁、生環、環1第387号から引用)

解体工事を受注した元請業者から、当該工事に伴って生じた廃棄物の処理を含めた当該工事に係る一切の作業を請け負った孫請け業者が、現場から生じた建設産業廃棄物である木くず、廃プラスチック類、陶磁器くず、金属くず、がれき類の混合廃棄物(重量合計約17トン)の処分代金を工面することが出来ず、過去に自社が請負っていた解体工事現場の跡地である造成地内に、廃棄物を投棄した事犯である。

投棄された建設廃棄物を検証し、排出源や関係先について捜査したところ、廃棄物の処理及び清掃に関する法律上の不適正な委託行為から起因する不法投棄事犯であることが判明したことから、関係先の捜査を実施し、押収した証拠品等の分析をしたうえ、関係者からの事情聴衆を実施した結果、委託基準違反、受託禁止違反が明らかになったもの。

日本経済新聞社(10月22日)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG21H1G_R21C14A0CC1000/

無許可業者への委託

今回は、無許可業者への委託、プラス不法投棄という連鎖による事件ですので、前述のネットニュースは当然ながら、実際に新聞紙面でも報道されることになりました。
ですが、最近の傾向は不法投棄に繋がらない無許可業者への委託も、その多くが新聞報道されていますので、皆さんの企業におかれては、十分に気を付けておいていただければと思います。

また、一言で無許可業者への委託と言っても様々なケースがあり、

◇廃棄物に関して、なんの許可も持っていない業者

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◇許可は持っていたけれど、期限の切れた業者

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◇許可は持っているけれど、種類の異なる許可の場合

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◇許可は持っているけれど、運搬の異なるエリアの許可を持っている場合

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などがあり、これらすべて無許可業者となること、ご注意ください。

書類送検と逮捕

今回のケースは、排出事業者側のハウスメーカーの3人が委託基準違反の容疑で書類送検され、受託者側の3名が受託禁止違反の容疑で逮捕されています。現在はとりあえずの容疑とのことでの逮捕等になっているものと思われますが、今後不法投棄の容疑で逮捕され、重い罰則になる可能性は十分にあるものと思われます。

また、ハウスメーカーの本容疑者は会社員とのことであり、社長や役員ではないというのも注目する点かもしれません。このことからも廃棄物管理担当者はこのようなリスクを背負った業務であるというのも、この事件を機に再認識されてもよろしいかもしれません。

 

平成26年11月1日
株式会社リーテム
法務部
坂本裕尚
(図)池田翠