中国での取り組み。そして今。

 

 近年中国は世界経済を牽引する国と言われてきました。人件費の安さから、世界でも有数の生産工場密集地となりましたが、現在では人件費の上昇に伴い、他の新興国へ拠点を移す企業も増えてきています。安い人件費で大量生産するというモデルから、質を高めて付加価値のあるものを提供する新しいビジネスモデルへの変換が求められているのかも知れません。
■中国の現状はというと
PM2.5の問題を背景に、大気汚染と水質汚染に対する国の環境対策は本格化し、大気汚染削減に向け2800億ドルを、水質汚染削減に3300億ドルを投じると発表されました。大気汚染により平均寿命が5年短くなっているという調査結果もあり、市街地ではマスクをしている人を多く見かけるようになりました。環境に関する意識が高まってきていることを感じます。2016年6月より第十三次五ヶ年計画の策定が開始されます。環境に関する政策はさらに強化されることが予想されます。

■中国のリサイクル産業の現状
従来、中国のリサイクル産業は安価な労働力をベースとした人海戦術による不用品の回収、選別、手解体、手選別が事業の中心となってきました。その一方で、目先の利益だけでなく将来の発展を考え、新しい設備を導入して作業を自動化する企業も増えつつあります。
また、近年では古紙、家電、マテリアルリサイクルに続き自動車リサイクルも伸びてきています。自動車に関しては、2014年の自動車販売台数は2350万台で、6年連続販売台数世界一と言われています。2008年より北京市では曜日ごとにナンバープレートの末尾によって走行停止、走行時間規制などをしているものの、道路混雑は増える一方で減る気配はありません。買い替え需要が旺盛で今後は廃車が増えていくと予想され、自動車リサイクルは大きく発展する事業だと言えます。

■リーテム中国事業部の2つの事業活動
① 現地自動車リサイクル企業との廃プラスチックリサイクルの連携事業
北京近郊にある自動車解体工場より排出される廃プラスチックを引取り、異物と汚れを除去した後に破砕をします。破砕品を江蘇省太倉市にある自社工場へ輸送し、より付加価値を高めるための再加工を行っています。
従来は北京で排出される使用済み自動車の多くは、内陸地域へ送られ、車種を問わず様々な廃パーツを繋ぎ合わせて1台の自動車を製造するという方法で中古車としてリユースされてきました。現在は国の政策で、廃車の排出者に補助金を支払う制度がスタートしたことで使用済み自動車の流れが変わりました。廃車が北京市内近郊でリサイクル処理されるようになり、以前に比べ廃車台数が増えています。自動車リサイクルはまだまだ物量は少ないですが今後の発展を多いに期待出来る事業です。

② 天津TEDA開発区内のリサイクル企業との廃プラスチックリサイクルの合弁事業
現地企業との合弁に向けた準備が最終段階にあります。
新会社が目指すのは、日系企業、現地企業から排出される廃プラスチックの回収と日本のリサイクル技術を導入した再生品製造です。地元の優良企業として力を持つ合弁相手と共に、リーテムの強みである品質管理や処理技術・ノウハウを生かして、付加価値の高いリサイクル原料の提供と、TEDA地域での先端リサイクル事業者としての認知を目標に、事業化に取り組んでいきます。