リニアからサーキュラーへ

従来の大量生産・大量消費・大量廃棄という一方通行型(リニア)の社会構造から、資源を循環させるサーキュラー型の経済構造へ転換させようという動きが注目されています。

 

サーキュラーエコノミー(CE = Circular Economy)とは

サーキュラーエコノミーを日本語に直訳すると「循環経済」です。世界の人口は急増しており、このまま作って捨てる一方通行型(リニア)の社会を継続すると、2030年には地球2個分の資源が必要になると試算されています(※WWF試算)。そこで生まれたのが大量生産・大量消費・大量廃棄のようなリニア型の資源消費で経済成長するのではなく、今地上にある資源を循環させて利益を生むという概念「サーキュラーエコノミー(CE)」です。※https://www.wwf.or.jp/aboutwwf/earth/

従来、資源循環や環境に対する取組みは、どちらかというと企業の社会的責任として実施され、業績が悪化すると停滞しがちです。CEは、一過性のものではなく、資源の無駄、遊休資産、まだ使用可能なのに捨てられる素材等の多くの「無駄」をなくし、資源循環で利益を生むビジネスモデルとして持続させるという考え方です。

参照 「Waste to Wealth–The Circular Economy Advantage-」 ピーター・レイシー&ヤコブ・ルトクヴィスト著

CEの身近な事例

自転車のシェアリングやカーシェアのサービスは、CEビジネスの例です。頻繁に使わない製品は、個人が所有すれば遊休資産となります。あまり使わない物を皆がそれぞれ持つことで「無駄」が生じています。皆で1個の製品を共有すれば、無駄がなくなり、資源効率が良くなるうえに、シェアリングプラットフォームというビジネスが生まれて利益が生じれば、無駄になっていた資源が利益に変わると言えます。

EU(欧州共同体)の動き

CEは、EUで生まれた考え方で、2010年にEUの中長期戦略「欧州2020」の中で打ち出されたResource efficiency(資源の効率化)が前身とされています。その後、2015年12月の「循環経済に向けた行動計画」の発表以降は、CEパッケージとして循環型ビジネスモデルに沿った自主的な取組だけでなく、時に規制的な措置が取られ、関連指令の改正や戦略策定等の取組みが進められています。

CEの具体的な取組みとは?

CEには、シェアリングサービスの他にどのようなビジネスがあるでしょうか。下図に示す通りCEの概念には、上から下に製品の生産、使用、廃棄という流れがあり、左の循環が生物的循環、右が技術的循環です。循環には、バイオマスリサイクル(堆肥化など)、シェアリング(共有)、メンテナンス、再使用、修理、再資源化などがあります。CE型ビジネスは業種や業態、規模に関わらず、どのような企業でも取り組めるとされています。

引用:エレンマッカーサー財団

廃棄物分野で求められる対応と課題

CEには、可能な限りゴミを出さないようにする仕組みが必要です。そのため、使い終わった製品を再使用や修理により再び製品として利用することや、再使用も修理もできず、止む無く廃棄せざるを得ない製品を、適正にリサイクル処理をして再生資源にすることが求められます。その再生資源を使って新たに製品を生産すれば本来の循環が実現できますが、現状は、再生資源を再び製品の原材料としてメーカーが使用するためには、様々な課題があります。

日本ではこれらの課題が支障となり、廃棄段階でのCEの取組があまり進んでいないと評価されています。しかし、EUをはじめ世界では、廃棄~再生原料の利用を含めた取組みが進められています。日本が現状のままだと世界から取り残される可能性は大いにあるでしょう。まずは、我々消費者がCEの概念を理解し、性能やデザインだけでなく、“資源の無駄がないか”という点で製品やサービスを選択するマインドを持つことが必要かもしれません。

 

最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。
ニュースレター_2020.1

 

令和2年1月23日
株式会社リーテム
サスティナビリティ・ソリューション部
本間 蓉子、伊藤 美幸
(図)加藤 翠

リーテムのサービス紹介

オフィス機器、什器リユース・リサイクルワンストップサービス

https://www.re-tem.com/service/service_list/onestop-service/