令和8年4月10日に廃棄物処理法の改正案が閣議決定されました。同法案は現在開会中の第221回特別国会に提出される予定です。早ければ同国会の会期が終わる7月に公布される可能性があります。同法案の主な柱は2つです。1つはヤードの許可制度の導入、もう1つは災害廃棄物対策の強化です。本コラムでは、ヤードについての改正案の内容をご紹介します。
~目次~
・現状:自治体によるヤード規制条例と取り締まり
・廃棄物処理法改正案によるヤード許可制度の概要
・国によるヤード規制の背景と目的
現状:自治体によるヤード規制条例と取り締まり

産業廃棄物処理事業振興財団サイトより
「ヤード」という言葉には、囲いのある作業場・保管場という意味がありますが、日本では、使用済み製品、機器、自動車等を“再生資源”として保管する屋外の施設を 「雑品ヤード」 「スクラップヤード」「自動車ヤード」等と呼んでいます。ヤードの不適切な管理によって環境汚染を引き起こす事態を防ぐため、一部の都道府県や政令市は条例によってヤードの所有者に対して保管基準を守ることや、届出を求める等のルールを定めています。使用済みであっても“廃棄物”ではなく“再生資源”(=有価物)である場合には、国の法律である廃棄物処理法の対象外であることから、ヤードの運営管理が不適切であってもヤード事業者は法律による取り締まりを受けることが無いためです。自治体のヤード規制について、本コラムで過去にもご紹介していますので、ご関心のある方は、こちらも併せてお読みください。
「排出者が知っておくべき“ヤード規制条例”の背景(2024.3.29リーテムコラム)」
茨城県公式Xアカウントより
廃棄物処理法改正案によるヤード許可制度の概要
国による導入予定の許可制度とは、使用済みの金属やプラスチックなどのうち、廃棄物処理法上の廃棄物でないものを、「要適正保管使用済金属・プラスチック物品」、 「要適正再生使用済金属・プラスチック物品」と呼び、これらに該当する物品の保管、または再生を業として行うとする事業者は予め都道府県の許可を得なければならず、廃棄物処理法で定める保管や再生の基準を遵守しなければならないというものです。ただし、既存の廃棄物処理業者や、各種リサイクル法に基づいて認定を受けている事業者に対しては、二重の負担を避けるため、「許可みなし」(=許可された者として扱う)の特例が設けられる予定です。
また、「要適正再生使用済金属・プラスチック物品」のうち、環境汚染のおそれがあるもの、具体的にはバーゼル法の特定有害廃棄物等に該当するもの(例:使用済鉛蓄電池、電子スクラップ、基準未達の使用済プラスチック等)は、「特定要適正再生使用済金属・プラスチック物品」と定義し、国内での再生を原則とし、輸出する場合は環境大臣の事前確認を得ることが義務付けられます。なお、現行の廃棄物処理法による有害使用済機器(家電4品目、小型家電28品目)の保管等届出制度(現17条の2関係)は、廃止されます。


環境省報道発表資料 https://www.env.go.jp/press/press_04100.html
国によるヤード規制の背景と目的
従来のように自治体による取締りに任せるのではなく、国の法律を改正して不適正なヤードの規制に踏み切る理由はなんでしょうか。
環境省の実施した令和7年度の全国の都道府県等への調査によると、ヤードでの不適切な保管による騒音、悪臭、水質・土壌汚染、火災等の問題が全国で275件発生しています。このような不適正なヤードに起因する事故や環境汚染を未然に防止することが今回の法改正の目的の1つです。
もう1つの重要な目的として、“資源の海外流出の抑制”があります。世界的な資源確保競争の激化や、中国による重要鉱物の輸出規制、EU(欧州連合)による電子スクラップ輸出規制強化などを背景に、経済安全保障の観点から、日本国内にある再生可能な資源を国外に逃がさず国内で循環させることが課題となっているためです。環境省は、「不適正ヤードは環境対策が不十分な分、操業コストが抑えられ、スクラップ等の買取価格を通常より高値に設定できる等、適正なヤードとの公正な競争が妨げられている。一部のスクラップの海外流出が指摘されており、不公正の解消が重要だ」 としています。

吉川松伏消防組合サイトより
編集後記
これまで、 廃棄物処理法の適用を受けずに、スクラップがずさんに積み上げられたヤードが火災の要因となった事例が多く報道されてきました。また、自治体が悪質な事業者を摘発しようとするも、夜のうちにヤード規制の無い地域へ移ってしまうなど、対処が難しいとも言われます。千葉県警のウェブサイトによれば、千葉県内には、約790ヵ所(令和7年9月末時点)の自動車ヤードがあり、その一部のヤードでは、盗難自動車の保管・解体のほか、不正輸出の拠点、不法滞在外国人の就業場所として利用されている実態があるそうです。今回の法改正によって、全国一斉の本格的かつ完全な不適正ヤード摘発の実現が期待されます。
最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。
ニュースレター_2026.5
令和8年5月12日
株式会社リーテム
サーキュラーエコノミー推進部
杉山 里恵
(図)加藤 翠
リーテムのサービスのご紹介

太陽光パネル再資源化サービス
https://www.re-tem.com/service/solar-panel/
広域認定申請支援サービス
https://www.re-tem.com/service/circular-support/
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