水銀使用製品の早期処分のすすめ

2017年8月16日水俣条約発効にともない、この前後から水銀による健康被害や環境破壊を繰り返さないための、さまざまな法的担保措置がとられてきました。今回は、家庭や病院のみならず企業でも使用もしくは退蔵されている可能性のある、水銀体温計や水銀血圧計、蛍光ランプ等の使用と廃棄について概観していきます。

水銀に関する法律例

 

水銀使用製品の製造・販売、使用

水銀を使用した体温計や血圧計の製造・販売に関しては、2020年末で終了となります。
一方、蛍光ランプについては、製品ごとの水銀含有量基準未満であれば製造・販売を続けることができます。蛍光ランプに関する含有量基準は、2018年1月1日から適用されているため現在販売されている製品は、新基準を満たしていると考えられます。なお、水銀使用製品の使用に関しての規制はありません。


 

水銀使用製品を退蔵するリスク

水銀は、常温で液体である唯一の金属であり、液体であるがゆえに揮発します。呼吸により肺から吸収した場合には、幻覚や呼吸器系の障害等を発するとされています。一方、有機化していない純粋な水銀(Hg)を経口摂取しても無害であるとの説も耳にしますが、誤飲しないに越したことはありません。水俣病の原因にもなった有機化水銀の毒性は今更言うまでもありません。使用していない水銀使用製品はリスク回避の観点からなるべく早期に廃棄処理する必要があります。


 

水銀の輸出規制と輸出の推移

水銀使用製品等は有価物として海外に輸出することが可能です。2017年8月16日以降、事業者に輸出後の使用状況の報告が求められています。事務手続きコストが、水銀の売却益を上回る場合、輸出は縮小していくと想定されます。輸出により得られる利益の減少は、処理価格の上昇を示唆します。

次のグラフで、報告義務化の翌月から輸出量が激減していることがわかります。2021年1月以降は、体温計・血圧計含む水銀使用製品の製造・販売が禁止となるため、世界の水銀需要は激減することが予想されます。


編集後記

人体や生態系にとって極めて有害な重金属のひとつである水銀。水銀は代替製品の開発も進んでいますので、可及的速やかに、適正なルートで処理が進むように周囲の人や組織に働きかけましょう。

最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。
ニュースレター_2018.12

 

平成30年12月26日
株式会社リーテム
サスティナビリティ・ソリューション部
菅間 智義
(図)加藤 翠

 

リーテムのサービス紹介

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