不法投棄事件のその後

一昨年に岐阜県瑞浪市の大雨による土砂崩れで発覚した不法投棄事件のその後を追いました。

事件の発覚

2017年8月に岐阜県瑞浪市の中央自動車道で、土砂崩れが発生し、走行中の車4台が巻き込まれ6人が重軽傷。土砂に多量の窯業原料が含まれていたため、県が調査したところ、現場付近の窯業原料製造会社が不要になった原料すなわち産業廃棄物(汚泥)を工場敷地内に10年にわたり不法投棄していた(埋めていた)ことが判りました。樹脂製の袋に入った汚泥が(1袋の高さは約1メートル、容量1トン)、幅19メートル奥行30メートルの採石場跡地に幾つも並べて埋められていたとのことです。

 

不法投棄の厳しい求刑

昨年12月に窯業原料会社の会長と役員に対し、廃棄物処理法違反でそれぞれ懲役3年6か月、罰金200万~100万円が求刑されました。法人としても罰金1500万円、作業を請け負っていた土木会社社員も懲役3年、罰金200万円が求刑されています。

ちなみに土砂崩れに巻き込まれた6人が重軽傷を負ったため、業務上過失傷害容疑でも会長と役員が書類送検されましたが、こちらは不起訴となっています。

廃棄物処理法では、「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」と定めています。
自ら処理であっても、産業廃棄物の埋め立ては原則として管轄の都道府県等の許可を受けた処理施設で行わないとならないため、自社の敷地であっても不法投棄とみなされます。

措置命令

本件は、岐阜県の立ち入り調査の後、県より2度の措置命令が出されています。

※措置命令とは
「廃棄物処理基準に適合しない廃棄物の処分が行われ」なおかつ「生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められる時」に、市町村長や都道府県知事がその処分を行った者や企業に対し、支障の除去や被害の発生防止措置を取るよう命じることです。

 

敷地内の廃棄物の保管状況の再確認を!

窯業原料製造会社の会長は報道陣に「問題があるとは思っていたが、自分の敷地内だから置いていた。雨が降って崩れるとは予想していなかった」と答えたそうです。

自社の敷地内での廃棄物の保管や自社処理の場合、廃棄物処理法の規定に照らした判断が甘くなりがちです。

近年、台風などによる大雨や強風の被害が増えています。風向きや雨量が前例にないケースも多々あり、物損などの被害に遭われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。敷地内の廃棄物の保管についても、想定を超える大雨や強風の影響の観点から、保管方法や飛散や流出等の防止対策を今一度チェックしてみると良いかもしれません。

最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。
ニュースレター_2019.1

 

平成31年1月29日
株式会社リーテム
サスティナビリティ・ソリューション部
浦出 陽子
(図)加藤 翠

リーテムのサービス紹介

使用済小型家電リサイクル
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