やっぱり危険!リチウムイオン電池

日本容器包装リサイクル協会によると、プラスチックごみに混入した電池が原因の発火事故が増加傾向にあり、全国の廃プラスチックのリサイクル工場における発煙・発火件数は、2017年に56件、2018年に130件、2019年は10月10日時点で既に173件、と急増しています。

小型家電をリサイクルする工場では、搬入される大量の使用済み小型家電に内蔵された電池の取外し、電池の種類毎の選別、絶縁処理、保管場所の防火設備の設置など、事故防止のための対策を行っています。しかし、それには人手とコストがかかる他、製品の多様化で二次電池内蔵型にモデルチェンジされた製品に関する情報収集などに、苦慮しています。

 

リチウムイオン電池内蔵製品ユーザーの事故事例

製品の使用段階でも多くの事故が起きています。2013年度~2017年度の5年間に製品ユーザーが被害を受けたリチウムイオン電池内蔵製品による事故は582件。2016 年度からは毎年100 件を超えています(※NITEに通知されたものに限る)

 

PSEマークの無いモバイルバッテリは製造、輸入、販売禁止

リチウムイオン電池内臓製品の事故のうち、発生件数の多い製品上位3種は、
1. モバイルバッテリ、2. ノートPC、3. スマートフォンです。(NITE資料より)

モバイルバッテリは、電気用品安全法の改正(平成30年2月1日)で規制対象となり、技術基準適合、出力電圧、加圧試験、落下試験、過充電試験、高温試験等の全数検査が義務付けられました。1年間の経過措置を経た今年2月1日からは、検査をクリアした証であるPSEマークの付いていないモバイルバッテリは製造、輸入、販売禁止(流通在庫を含む)となっています。

安全基準の低い海外製電池を組み込んだモバイルバッテリが多く輸入され、安価で販売されていることが、事故増加の要因の一つではないかと言う声もあります。

 

排出事業者(ユーザー)が事故防止のためにできること

リチウムイオン電池だけでなく、ニッケル電池、ニカド電池などの二次電池や、ボタン電池も発火の可能性があります。使用済み電池を廃棄物業者に引き渡す前、また一般ユーザーが地域のごみステーションに出す前に取り外すことが事故防止に有効です。

 

 

編集後記

今年のノーベル化学賞は、リチウムイオン電池を開発した吉野彰氏が受賞なさることが10月9日に発表されました。インタビューで吉野さんは「電池の設計自体を見直す段階に来ている。まだ科学的に分かっていない部分の解明に取り組みたい」とおっしゃっています。化学と技術の力で電池の安全性が向上する日は遠くないと感じました。

 

最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。
ニュースレター_2019.10

 

令和元年10月25日
株式会社リーテム
サスティナビリティ・ソリューション部
杉山 里恵
(図)加藤 翠

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