「環境問題」と、いま、我々にできること

今回のコラムは、6月は環境月間とのこともあり、世界で起きている環境問題について、その正しい情報を皆様にご案内したいと思います。

まず、環境問題の第一人者である東京大学名誉教授の山本良一先生は、直近の弊社の取材で以下のように述べられています。

地球生命圏の臨界点は2025年 ~東京大学名誉教授 山本良一先生~

◆地球温暖化について

「人類は地球的非常事態(Planetary Emergency)に直面しているのではないだろうか。」
まず、地球温暖化の影響が身近に感じられるようになってきた。気象庁によれば2012年9月の平均気温は1898年の統計開始以降最高だった。
また熱中症による死者も増加中で、2010年には過去最高の1731人が亡くなった。気温一度の上昇で死者が4~6割増加すると推定されている。1950年以来の地球温暖化の4分の3は人為起源の温室効果ガスによるものと考えられている。北極圏では雪氷融解による太陽光反射率の低下が主な原因で、全球平均の2倍以上の温暖化が進行しており、北極海氷、グリーンランド氷床の消失が報道されている。特に北極海氷面積は9月に記録的に減少し、その体積は3年前の50%にまで減少した。北極海氷消失の原因の70~95%が人為起源の地球温暖化と考えられている。夏の北極海氷消失によりジェット気流の速度が減少し、大蛇行の原因となって中緯度地方の異常気象を引き起こす可能性があるとされ、近年のアメリカ北東部の豪雪、ロシアの熱波などの原因となったと推定されている。このような異常気象も大きな要因となって大豆やトウモロコシなどの殻物価格の高騰が起きている。

◆国際社会の対応

一方、国際社会はすべての国が一致して大幅な温室効果ガスの削減を開始することをCOP18で2020年まで先送りしてしまった。プライスウォーターハウスクーパースの最新のレポートによれば、世界経済のカーボンインテンシティ(GDP当りのCO2排出量)は2011年には0.7%減少したものの、世界の平均気温の上昇を2℃以下に抑制するためには年率5.1%ずつ低下させなければならず、もはや2℃ターゲットを守るには手遅れで、4℃、6℃上昇も覚悟しなければならないと結論している。

◆2025年がティッピングポイント(臨界点)

なぜCO2などによる地球温暖化が懸念されるかと言えば、CO2などの排出をたとえゼロにしても、1000年も継続する不可逆的な気候変化を引き起こしてしまうからである。2009年には155名の科学者が、海がCO2を吸収して酸性化し、海洋生態系に影響を及ぼしていることを懸念してモナコ宣言を発表した。2012年には2600名の科学者がサンゴ礁を救うための緊急声明に署名している。生物学者らは地球生命圏全体が臨界点に近付きつつあるとして、人間活動が陸地表面の50%を占有する2025年がティッピングポイント(臨界点)になるかもしれないと警告している。

◆原因と対応策

この地球的非常事態を招いた原因は言うまでもなく人口増加と物質的に豊かな生活を目指して資源エネルギーの大量使用、大量廃棄を続けていることに他ならない。永続可能なエコ文明においては、安定化した人口と、自然エネルギーの利用、枯渇性資源の100%リサイクルなどが最低限必要であろう。そのような努力は正に着手されたばかりである。

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環境危機時計

昨年9月に発表された2012年の環境危機時計は、9時23分と昨年に比べ22分と大幅に進みました。環境危機時計は人類滅亡の時間を12時として表しています。
環境危機時計は、旭硝子財団が各国の政府関係者や研究者など世界の有識者にアンケートして毎年1回発表しているものです。2012年に時間が進んだ原因として最も多かったのは「気候変動」であり、地球環境の改善がなかなか進まない障害となっている原因は、「経済利益の追求」「グローバル経済システム」を上げる答えも多かったとされています。

◇環境危機時計(旭硝子財団)
http://www.af-info.or.jp/questionnaire/clock.html
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(前述の山本良一先生の記事、並びに環境危機時計については、弊社CSRレポートに掲載)

https://www.re-tem.com/pdf/2013.pdf

いま、我々にできること ~2013年の夏~

このような環境問題の”現実”を認識したところで、さて、次に我々には何ができるかということになるものと思われますが、今回のコラムでは今年の夏に何ができるのか、などの情報を集めてきましたので、ここでそのいくつかをご案内したいと思います。

◆グリーンカーテン
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg8020.html
(政府インターネットテレビ)

◆すまいのECOチャレンジ
http://www.sumai-challenge.com/challenge?filter=all
(三井不動産レジデンシャル株式会社)
・投稿アイデアが多数掲載

◆家庭でできる地球温暖化対策の紹介
http://www.city.owase.lg.jp/contents_detail.php?frmId=4701
(尾鷲市)

◆家庭でできる地球温暖化対策
http://www.okiden.co.jp/corporate/eco/eco_saving.html
(沖縄電力株式会社)

◆ECOライフDAY埼玉2013
http://www.pref.saitama.lg.jp/page/ecolifeday.html
(埼玉県)
・小学生~高校生まで今年の夏に使えるエコライフチェックシートなど掲載)

熱中症対策

山本良一先生のお話にもありましたとおり、地球温暖化による熱中症の死者が増えております。ここでは、その熱中症対策としても少々紹介させていただきます。

◆熱中症を防ごう
http://www.jaish.gr.jp/information/nettyu.html
(中央労働災害防止協会)

◆自然の涼を楽しむ「神戸エコライフスタイル」の提案
http://www.city.kobe.lg.jp/information/project/environment/setsuden/2013life.html
(神戸市)

今回のコラムでは、「環境月間」に関係した正しい情報ということで、山本良一先生の記事を筆頭にいくつか紹介させていただきました。

各企業におかれても様々な環境の取り組みをされていることと思われますが、このような現実を直視しながら取り組まれてはいかがでしょうか。当社ではそのような環境教育を座学でお伝えしたり、体験型の環境教育のメニューもご用意しておりますので、ご要望がございましたらお声かけいただければと思います。

平成25年6月16日
株式会社リーテム
マネジメント推進部
坂本裕尚