以前のコラムでも、廃棄物処理法のパブコメの紹介をさせていただきましたが、その法改正議論の中の「法律」にあたる部分を閣議決定されたと環境省から報道発表がありましたのでご紹介します。
■廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案の閣議決定について
http://www.env.go.jp/press/103794.html
法改正案の概要
(1)特別管理産業廃棄物の電子マニフェストの義務化
補足・・環境省発表には、「特定の産業廃棄物」を「多量」に処理委託する場合となっており、それらは環境省令で定めるとしているが、おそらくは特別管理産業廃棄物のこと。「多量」の数量は不明。
(2)有価物である雑品スクラップの適正保管、届出等
補足・・廃棄物処理法は廃棄物に限定しての法律ではなく、生活環境保全のおそれがある有価物についても守備範囲となっており、雑品スクラップ業者に対する適正保管と届出等を義務付け。
(3)処理業者の許可取消後の行政処分等を可能に
補足・・ダイコーの廃食品の事案でも露見されたように、これまでは処理業者の許可を取消処分してしまうと、行政の措置命令ができなかったが、改正後は行政処分、命令等が可能に。
(4)親子会社間の廃棄物処理の効率化・合理化
補足・・親子会社であっても法人格が違うと、子会社の施設を活用して親会社の廃棄物を処理できないなどの不合理さがあったが、改正後は都道府県の認定を受ければそれは可能に。
施行日
これらの法改正案は、この閣議決定の後、国会による審議を通過して公布される予定ですが、その公布日から起算して(1)の特別管理産業廃棄物の電子マニフェスト以外は、1年以内となっていますので、もしかしたら平成30年の4月になるかもしれません。
また、(1)の特管の電子マニフェストは、公布後3年以内となっています。これは、電子マニフェストの導入にはそれなりの時間軸を要しますので、平成31年か32年の4月になるのではないでしょうか。。。
その他
この改正案以外にもパブコメでもいくつか議論されておりますが、それらについては、前項の公布と合わせて政省令が公布され施行される(項目によっては通知対応も)ことになるものと思われますので、それらの準備等も必要になるものと思われます。
(その他の法改正議論は、1月のコラム参照)https://www.re-tem.com/ecotimes/column/kaisei_20170120/
今回の法改正は、直近のダイコーの事案がありましたので、それに対応せざるを得ない部分もあったと思われますが、今回の親子会社間の処理の合理化などのような不合理なところの”解消”が今後法改正されることを期待したいと思います。
最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。
平成29年3月21日
株式会社リーテム
法務部
坂本裕尚
(図)加藤翠