2022年7月から、事業用の太陽光発電設備が使用済みになった際の廃棄等費用を積み立てることが義務化されます。固定価格買取制度(FIT制度)による認定事業者が対象となり、積立てを怠った対象事業者は国からの指導、改善命令、認定取り消し措置の対象になり得るそうです。
2035年に太陽光発電設備の大量廃棄時代が始まる
2012年に始まったFIT制度(=再生可能エネルギーでで発電した余剰電力の固定価格買取制度)の導入以降、発電事業への新規参入を含めた再生可能エネルギー分野への投資が呼び込まれ、中でも太陽光発電事業が急速に拡大しました。直近では、事業用太陽光発電の新規導入件数は、2019年9月末に600,248件、2020年9月末に642,195件、2021年9月末に667,279件です(資源エネルギー庁 固定価格買取制度情報公表サイトより)。20-30年という製品寿命を踏まえると、2035年頃から太陽光発電設備の廃棄が急増すると見込まれます。
太陽光発電設備には、その生産国や年式によっては鉛やセレン、カドミウム等の有害物質を含む製品も存在するため、使用を終えたまたは自然災害などで使用できなくなった製品は、環境と安全に配慮した解体・撤去と廃棄処理が必要です。 国は、不要となった太陽光発電設備の放置や不法投棄が発生することを懸念しています。
令和4年4月1日施行 「改正再エネ特措法施行規則」
令和4年4月1日に、積立制度について定めた 「改正再エネ特措法施行規則」(=“電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則”の改正版)が施行されます。FIT認定を受けた時期が事業により異なるため、最も早い事業は令和4年7月1日に廃棄等費用の積立て開始となります。
国は、これより以前の2018年4月に、FIT認定の際の「事業計画策定ガイドライン」を改正して、事業者による廃棄費用の積立計画の記載と、積立て状況の定期報告を義務化しています。しかしこれは積立ての水準や時期を事業者の判断に委ねる内容であったため、2019年1月時点においてもまだ積立て実施率は2割以下でした。このことから、太陽光発電設備の廃棄のピークを迎える迄に廃棄費用の確実な積立てを担保する仕組みが必要だとして、積立ての時期、方法、金額等を具体的に定めた積立制度の導入が決まったという背景があります。
積立制度には誰にどんな遵守義務があるのか?
10kw以上の太陽光発電事業の認定事業者は、その発電設備の解体・撤去及び処理に要する費用に充てるための金銭である「解体等積立金」を、国が指定する外部機関である電⼒広域的運営推進機関(推進機関)に積み立てることが義務づけられます。積立制度の概要は下の表のとおりです。より詳しい内容をお知りになりたい方は、資源エネルギー庁が昨年9月に公表している「廃棄等費用積立ガイドライン」をご参照ください。
なお、廃棄物処理法により、太陽光発電設備の廃棄処理の責任は、排出者である太陽光発電事業者にあると定められています。
編集後記
日本は石油、石炭、天然ガスの調達のほとんどを輸入に頼っていて、資源エネルギー庁のサイトによると2018年のエネルギー自給率は11.8%で、世界34位です。国際情勢の変化に影響を受けない自国内でのエネルギーの安定調達のため、そして2050年カーボンニュートラルの目標達成のためにも再生可能エネルギー発電設備の普及は最重要です。FIT制度は日本の再エネ拡大に大きく貢献しました。今年4月からはFIT制度の課題を解決すべく新たにFIP制度も始まります。適正な廃棄システムとセットで、今後ますます再エネ普及が加速すると良いと思います。
最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。
ニュースレター_2022.3
令和4年3月31日
株式会社リーテム
サスティナビリティ・ソリューション部
杉山 里恵
(図)加藤 翠
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