アスベスト規制強化-元請業者の責務

2021年4月から段階的に施行されている改正大気汚染防止法(大気汚染防止法の一部を改正する法律)によって、解体を伴う工事には規模の大小を問わず使用するすべての建材の事前調査や書面の現場備え付け等が義務付けられました。本年、2022年4月1日からは、一定規模以上の工事については都道府県と労働基準監督署へのシステム報告等、新たな履行義務が追加されます。

 

日本のアスベスト規制

石綿とも呼ばれるアスベストは人体に悪影響を及ぼす鉱物として、日本では2006年からアスベスト含有率が0.1%を超える製品の製造・輸入・使用が禁止され、2012年には一部の猶予措置が撤廃されて全面禁止となりました。世界保健機関(WHO)が公開した調査結果によると、2019年のアスベスト関連疾患による死亡者数は、1位 米国、2位 中国、3位 イギリスに続き、日本が4位で約16,000人です。アスベストは中皮腫、肺がん、石綿肺等の潜伏期間の長い病気を引き起こすことから、使用を止めてもその効果を確認できるのは数十年後なのだそうです。

出典:労働安全衛生センター連絡会議サイト2020.12.26

日本は大気汚染防止法、建築基準法、労働安全衛生法、廃棄物処理法等によって年々規制を強化してきました。 2006年以前に建てられた建築物や工作物のアスベスト有無の早急な調査と、解体時の確実な除去が重要となります。

 

令和3-5年 改正大気汚染防止法の概要(元請業者の責務)

法改正により求められる内容は、環境省が公表している「建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル」 https://www.env.go.jp/air/asbestos/post_71.html に詳細な記載がありますが、大まかに整理すると次のとおりです。

 

事前調査結果の報告義務

上述の表にあるとおり、2022年4月1日以降に実施される一定規模以上の解体・改修工事においては、元請業者または自主施工者は、事前調査の結果を都道府県と、所轄の労働基準監督署に報告しなければなりません。報告対象の工事は下表のとおりです。

報告は 「gBizID」(ジービズID)に登録して 「石綿事前調査結果報告システム」で行います。 gBizID は、法人・個人事業主向け共通認証システムで、一度取得すると1つのID・パスワードで様々な行政サービスにログインできます。
https://gbiz-id.go.jp/top/service_list/service_list.html
ただし電子システム使用が困難な場合は、所定の様式による書面報告で代行することも可能です。

 

編集後記

法改正前の2020年4月に実施された解体工事・リフォーム業界へのアンケート調査(解体工事会社193社対象)によると、当時は、法改正を知ってはいるものの 「対策を検討中」 もしくは 「未だ着手していない」 という回答が約6割でした。事前調査費用の負担など課題もあるのだろうと想像します。およそ2年経った現在、業界の対応は進んだのか、気になるところです。

 

最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。
ニュースレター_2022.2

 

令和4年2月24日
株式会社リーテム
サスティナビリティ・ソリューション部
杉山 里恵
(図)加藤 翠

 

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