2024オリンピック・パラリンピック競技大会がフランス・パリで開催中です。東京オリンピック・パラリンピックでは、「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」で日本全国から集められた小型家電をリサイクルして入賞メダルを製作する活動が、日本の環境の取組として注目を集めました。パリ2024大会でも、様々な環境に関する取組が進められています。
パリ2024のサスティナブル計画
パリ2024大会は、持続可能性を重視した5つの取組が推進されています。
1.計画から運営までの炭素排出量(scope3含む)を予測し、前回大会と比較して50%削減する。
2.既存のリソースを活用し、投入資源は再生材を利用する。
3.建物や資材は、大会後も使い続ける。
4.プラントベースの食材や地産地消、使い捨てプラ容器の削減などによる低炭素型の食事の提供。
5.公共交通や電気・水素自動車による低炭素型のロジスティクスを整備する。
ちなみに、東京2020大会でも、持続可能な取組が行われておりました。こちらのコラムで紹介しています。
➡持続可能なオリンピック・パラリンピック
https://www.re-tem.com/ecotimes/column/jul2021/
セーヌ川太陽光発電所
炭素排出量の削減のため、フランス国内で発電される再生可能エネルギーが会場に供給されていますが、その他にも、会場や選手村の屋上には太陽光パネルが設置されており、電力供給を賄います。さらに、セーヌ川には可動式水上太陽光パネルが浮かぶようです。WEB検索しましたが、写真は見つけることができませんでした。今後、TV放映などで見ることができるでしょうか。大変興味があります。
参考:https://olympics.com/en/paris-2024/our-commitments/the-environment/renewable-energy
▲選手村の様子。屋上には太陽光パネルが設置された。
太陽光パネルはパリ2024大会後にどうなる?
パリ2024大会で使用された建物や資材は、大会終了後も地元地域のために使い続けるということですので、おそらく、太陽光パネルもほとんどが継続的に使い続けられるのではないかと思います。仮に使用が終了しても、フランスには、太陽光パネルのリサイクルに関する先進的な政策があるようです。
●EUでは、2012年に電気・電子機器のリサイクルを規定する WEEE指令が改正され、太陽光パネルも対象に加えられた。
●フランスでは、上記のWEEE指令改正を国内法に適用し、太陽光パネルのリサイクルに拡大生産者責任を課しており、使用者は購入時にリサイクル費用の一部として、エコ参加費用 「Visible Fee」を負担する。
●「Visible Fee」は回収・リサイクル・埋立処分に係る費用の一部に当てられると推定され、輸入業者は関税に上乗せ、国内メーカーは販売価格に上乗せして徴収している。
※拡大生産者責任とは、生産者が、その生産した製品が使用され、廃棄された後においても、当該製品の適切なリユース・リサイクルや処分に一定の責任(物理的又は財政的責任)を負うという考え方
参考:
環境省 「再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルに係る現状及び課題について」 2023年4月
https://www.env.go.jp/council/content/03recycle03/000183808.pdf
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 「太陽光発電主力電源化推進技術開発(動向調査等)太陽電池モジュールの適正処理に関わる調査」 2022年2月
https://www.nedo.go.jp/content/100950785.pdf
日本(東京)における太陽光パネルのリサイクル政策は
一方、東京2020大会でも、運営電力100%再生エネルギーの目標が掲げられ、福島県の復興計画の一環として建設された太陽光発電施設で発電された電力が供給されました。この際の太陽光パネルは廃棄されずに使用を続けていますが、東京都においても、特に住宅用の太陽光パネルについて、リサイクルを促進する独自の取組があります。
●使用済住宅用太陽光パネルのリサイクルを促進するため、東京都が指定する産業廃棄物中間処理施設で住宅用太陽光パネルのリサイクルを行う排出事業者に対し、リサイクルに要する費用の一部を補助する「使用済住宅用太陽光パネルリサイクル促進事業」を開始。
●この指定産業廃棄物中間処理施設には、当社リーテムの水戸工場も選出されています。
参考:
東京都環境局 「使用済住宅用太陽光パネルリサイクル促進事業」
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/03/30/31.html
東京都環境局 「太陽光発電設備の3R推進について」
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/resource/recycle/solarpower
また、国の政策においては、フランスのエコ参加費用とは少々異なりますが、廃棄等費用の確実な積立てを担保するために、10kW以上のすべての太陽光発電のFIT・FIP認定事業に対し、外部積立てを求める制度があります。詳しくは、過去のコラムでも紹介していますので、どうぞご覧ください。
➡太陽光パネル廃棄等費用の積立義務化
https://www.re-tem.com/ecotimes/column/mar2022/
加えて、「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(再エネ特措法)」において、 FIT/FIP制度の認定事業者は、太陽光パネルの含有物質の情報を提供するよう求める省令改正が予定されています。環境負荷が懸念される化学物質(鉛・カドミウム・ヒ素・セレン)などの含有物質が明確になることで、スムーズかつ適正な処理が期待できます。
参考:環境省 「太陽光パネルの含有物質の情報提供に関する方向性の検討」 2023年7月
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/disposal_recycle/pdf/005_02_00.pdf
編集後記
東京2020大会では、全国で集めた小型家電から金銀銅原料を回収し、メダルを製作しました。弊社リーテムもこの「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」に事務局の一社として参加しました。パリ2024大会では、エッフェル塔の改修の際に発生した鉄がメダルに埋め込まれているようです。
今回は太陽光パネルについてパリと東京の取組を記載しましたが、再生可能エネルギーの活用やメダルの作成の他にも、両大会の環境に関する取組は様々あり、比較することで国の政策や方針の違いも見えてきて大変面白く思います。
最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。
ニュースレター_2024.7
令和6年7月31日
株式会社リーテム
CE推進室
本間 蓉子
(図)加藤 翠
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