リサイクル技術の基礎情報 日本のプラスチックリサイクルは進んでいるのか?

プラスチック資源循環利用促進法が施行され、また企業も再生プラスチック原料を使用した製品やアップサイクル製品を発表するなど、日本におけるプラスチックリサイクルが促進されていると感じます。海外、特にヨーロッパは、プラスチックのリサイクルに積極的であると言われていますが、日本のリサイクルの現状はどうでしょうか。

~目次~
・プラスチックのリサイクル方法
・日本国内でのプラスチックのリサイクル量
・世界のプラスチックリサイクルの状況は?

 

プラスチックのリサイクル方法

リサイクルの手法は大きく分けて「マテリアルリサイクル」、「ケミカルリサイクル」、「サーマルリサイクル」の3種類があります。それぞれのリサイクルの特徴を下表に整理しました。なお、「ケミカルリサイクル」の「ガス化」「油化」によって得られた生成物を燃料に使用する場合、広義の「サーマルリサイクル」とする考え方もあります。

参考:「プラスチックの現実と未来へのアイデア」東京書籍、「廃棄物工学の基礎知識」技報堂出版

※リサイクル設備によっては、受け入れた廃プラスチックの脱塩処理を行っている場合があり、“塩ビはNG”であっても、ある程度の塩ビの混入が許容されていることがあります。

 

「水平リサイクル」をするためには、丁寧な洗浄や選別が必要ですが、プラスチック製品は様々な樹脂が複合的に使用されており、使用済のものであれは汚れが付着しているため、結果的にペットボトルや食品トレイ、塩ビ製建材などの回収体制が整っていて物量が集められるもの、単一樹脂で作られた製品等にしか向きません。「カスケードリサイクル」は様々な製品が混合した状態でも活用できますが、こちらも汚れを丁寧に除去する必要があります。

 

日本国内でのプラスチックのリサイクル量

日本国内の廃プラスチックの総排出量とリサイクル状況は下表の通りです。排出量は2005年の1,006万tと比較すると減少していますが、ほぼ横ばいです。2022年では、サーマルリサイクルが62%を占めています。

出典:一般社団法人プラスチック資源循環協会「プラスチックリサイクルの基礎知識」
https://www.pwmi.or.jp/pdf/panf1.pdf

 

世界のプラスチックリサイクルの状況は?

下図は、世界各国の廃プラスチックのリサイクル方法について、2019年の実績と2060年の予測をまとめたものです。
水色のMismanagedには、適切に回収されず自然環境に投棄された廃棄物などが含まれます。青のRecycledはマテリアルリサイクルとケミカルリサイクルのことで、サーマルリサイクルや単純焼却された廃棄物は灰色のIncineratedに含まれます。緑のLandfilledは埋立処理です。
日本はOECD Asiaとして韓国との合算になっていますが、世界的な傾向を見るための参考としてください。

引用:OECE「Global Plastics Outlook POLICY SCENARIOS TO2060」
https://www.oecd.org/en/publications/global-plastics-outlook_aa1edf33-en.html

 

前項から、2019年の日本のマテリアル・ケミカルリサイクル率は25%です。韓国もマテリアル・ケミカルリサイクルを促進している国ですので、OECD AsiaのRecycledが20%以下であるのは、計算方法に違いがあるのだと思われます。それを勘案しても、 OECD AsiaのRecycled率は、世界の平均と同程度であります。
そして特筆すべきはLandfilled(埋立処分)率の低さです。残念ながらこの図ではサーマルリサイクルが単純焼却と同じ扱いになっていますが、前項で示した通り、日本ではサーマルリサイクルが60%以上を占めており、マテリアル・ケミカルリサイクルに適さない低品位のプラスチックであっても、エネルギーを回収して活用し、埋立を極力しないというのが日本スタイルといえるでしょう。

 

編集後記

ヨーロッパでは、製品への再生プラスチック原料の使用率の目標を定めるほか、使い捨てプラスチックの削減を推進するなど、使用量・廃棄量を減らす取組が進んでいます。
日本においても、製造者による再生プラスチック原料の使用が促進され、またマテリアル・ケミカルリサイクル量を増加させる技術開発が進み、併せて、最終的にリサイクル不適のプラスチックについて現状の丁寧なエネルギー回収を行うという“マテリアル・ケミカルリサイクルとサーマルリサイクルの両輪のリサイクル”を行うことで、世界をリードするプラスチックリサイクル先進国となることを期待します。

最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。
ニュースレター_2024.11

令和6年11月29日
株式会社リーテム
CE推進室
本間 蓉子
(図)加藤 翠

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