フロン機器の点検義務

いまから約3年半前の2020年4月にフロン排出抑制法が改正され、フロン機器を廃棄する時のルールや罰則が厳しくなったことがご記憶にある方は多いと思います。この法改正の以前から、フロン機器の管理者には、フロン機器の点検が義務付けられています。点検をしなければいけないことは知っているけれど、どういうものかよくわからない、という声をよくお聞きするため、今月はフロン排出抑制法に基づく点検義務を解説します。

 

フロン排出抑制法(以下「フロン法」)とは

フロン類はオゾン層の破壊や地球温暖化の原因になることから、大気への放出を抑制する必要があります。このため、製造から廃棄までのフロン類のライフサイクル全体にわたる包括的な対策として、定められているのがフロン排出抑制法(正式名:フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律)、略してフロン法です。

フロン法では、冷媒にフロン類が使用されている業務用のエアコン、自動販売機や冷蔵ショーケース等の冷凍・冷蔵機器を「第一種特定製品」に定めています。また、これらの機器の所有権を有する法人(予め契約などで所有者以外の第三者が保守・整備の責任を負うことを決めているケースではその法人)を フロン機器の「管理者」と定義しています。なお、第二種特定製品(カーエアコン)、家庭用のエアコンや冷凍・冷蔵機器はフロン法の対象外です。

第一種特定製品の例

 

フロン機器の使用期間中の責務

フロン法では、全てのフロン機器の管理者に、法に定めた管理者判断基準を守ることを義務付けています。具体的には、機器を使用している間、1)適切な場所への設置、2)機器の点検と記録保存、3)漏えい防止措置(保守・整備など)を行うことです。これらに関する都道府県の指導・命令に従わないと、50万円以下の罰金が科せられます。その他に、フロン類算定漏えい量の国への報告も義務となっています。

このうち、2)の点検には、3ヶ月毎に行う<簡易点検>と、一定規模以上の業務用機器について専門家に依頼して行う<定期点検>があります。どちらの点検についてもその記録を、当該機器の使用中だけでなく使用済みになった際の廃棄処分完了時点から3年間保存しなくてはなりません。

 

フロン機器の<簡易点検>と<定期点検>

簡易点検は、フロン機器管理者が、目視によって機器の外観を点検するものです。そのためには最初に、自社が所有しているフロン機器の設置場所と種類(定格出力)の確認と、記録簿作りが必要です。専門業者に委託することは禁じられていませんので、点検→記録→漏えい量報告を効率的かつ安全に行うため、点検サービスや保守サービスを提供する業者への委託を選択する企業も少なくありません。例えばフロン機器が高所に設置されていて点検作業に危険を伴うケースがあるためです。

出典:フロン排出抑制法ポータルサイト(環境省)https://www.env.go.jp/earth/furon/operator/isshu_2.html

 

フロン機器の簡易点検、定期点検 等についての疑問

環境省が、簡易点検、定期点検に関する疑問や、漏えい報告、廃棄時のルールについてなど、フロン機器管理者向けのQ&Aを公開しています。是非参考になさってください。

フロン排出抑制法ポータルサイト Q&A第6版
https://www.env.go.jp/earth/furon/faq/index.html#section02

 

編集後記

ご存知のとおり、日本は「温室効果ガスを2030年までに46%削減(2013年比)、2050年にゼロにする」を国の目標にしています。「2050年カーボンニュートラル」と聞くと、多くの人がまず頭に浮かべるのはCO2の削減かも知れませんが、CO2より温室効果の高いフロン類の排出削減も国が強化しています。フロン機器のユーザー企業は、フロン排出抑制法に沿った取組みがされているかを再確認することが重要だと感じます。

最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。
ニュースレター_2023.9

 

令和5年9月29日
株式会社リーテム
サーキュラーエコノミー推進室
杉山 里恵
(図)加藤 翠

 

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