廃棄物管理マネジメントのPDCA

今月は年度始めの4月ということもあり、各企業でISOのPDCAの“P(計画)”を計画されることと思われます。
今回のコラムは、そのISOの仕組みの中に、廃棄物管理の確認を入れられて実務を確認されては…ということで、そのヒントになりそうな「確認ポイント」と、「よくある不適正事例」を併せてご紹介させていただきます。

廃棄物におけるリスクは、これまでに本コラムでもご紹介させていただいておりますとおり、最近では新聞等で各企業の不適正事例を、よく目にすることが多くなってきています。(前回のコラムの下方に記載(html))

各企業にとっては、それらのリスクが顕在化する前に最小化しなければなりません。しかし、そのために新しい取り組みをするというのはなかなか大変な労力を要します。ということを想像して、筆者の提案としては、現状のISOの内部監査等の仕組みの中に、廃棄物確認ポイントの項目を入れてしまうという方法をご提案させていただきます。

ISOの内部監査等の活用

多くの企業がISO9001、もしくはISO14001などのマネジメントシステムを取り入れているものと思われます。これらのマネジメントシステムは、企業にとってマイナスとなる側面やリスクの最小化のためのシステムでもあります。また一方で、ISOの認証を受けているだけではもったいない、せっかくのマネジメントシステムを有効的に活用しなければならない、という課題もあるものと思われます。
この両面を活かすためにも、以下の確認ポイントをPDCAの中の内部監査の項目に入れられてはいかがでしょうか。これを行うことにより、廃棄物に伴うリスクがグンと減ることが期待できます。
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マニフェストの確認ポイント(代表例)

・マニフェストE票まですべて返送されているか
・返送期日がD票90日、E票180日以内に返送されているか
・B2票、D票、E票の記載内容が適切か

◆よくある不適正事例

・マニフェストが返送されるのは当然のことと思われるが、返送されていない事例は数多い
・B2票、D票、E票の記載方法が適切でない場合、処理業者のコンプライアンス体制に疑問あり
(具体例)
・E票の最終処分先欄が無記載
・B2票に処分終了年月日、最終処分終了年月日が記載されてしまっている など

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処理委託契約の確認ポイント(代表例)

・処理委託契約の記載内容に、法定記載事項の漏れがないか
・その記載する予定数量、処理費(金額)、最終目的地、最終処分先などがすべて記載されているか
・契約書に添付されている許可証の期限が切れていないか、最新の許可証が手元にあるか

◆よくある不適正事例

・収集運搬業者との契約のみで、処分業者との契約を忘れてしまっている
・数量、処理費(金額)などが、記載されていない
・最新の許可証を入手していない場合、気が付かないところで、いつの間にかその業者が無許可業者になっている
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処理委託先監査の確認ポイント(代表例)

・環境汚染となる、もしくは環境汚染が懸念される処理場、処理方法ではないか
・機械、設備の稼働状況、メンテナンス状況
・工場周辺の環境、駐車や出入りしている車両等の雰囲気、状況の確認
・処理工場内が整理整頓されているか
・従業員の教育等が適切に行われているか

◆よくある不適正(可能性)処理業者(例)

・フロン含有の廃棄物なのに、フロンを抜くことなく、処分してしまっている
・設備などが稼働されていないと、許可外の処理が行われている可能性がある
・工場周辺に「産廃施設反対」の看板や、出入りしている車両の状況により怪しさを感じる
・場内が整理整頓されていないと、処理そのものの体制に疑問あり
・従業員の態度が乱暴で、挨拶などもなく、服装も乱れている

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処理業者の選定ポイント

以上の確認ポイントは代表的な例なのですが、複数に渡って「×」が付いた場合には、その業者はよくよく注意された方がよろしいかもしれません。
廃棄物のリスクを最小化するための取り組みの第一歩は、なによりも「処理業者」の選定に尽きます。
この選定を誤ると、せっかく自社での廃棄物管理が正しく行われていても、思わぬところで足をすくわれてしまうこととなってしまいます。

また、平成25年3月29日に、環境省の通知の「行政処分の指針」が改訂されました。各自治体は、不適正な処理業者、排出事業者に対して処分や指導等を行うのですが、この行政処分の指針はそのための指針となるものです。

◆行政処分の指針(平成25年3月29日)
http://www.env.go.jp/hourei/add/k040.pdf

この指針の中でも、排出事業者は「優良認定事業者」のような優良とされる処理業者を選ぶことを勧めています。

よって、思わぬ場面でそのようなリスクに遭遇したときのためにも、以下のサイトに載っているような優良な処理業者の中から処理業者を選定されてもよろしいかもしれません。

◆優良さんぱいナビ
http://navi.ikashigen.go.jp/

 

※ これらの確認ポイントは、筆者が講演させていただきました、さいたま市主催の廃棄物管理セミナーの資料の中にも同じようなことが書かれています。
◆さいたま市、廃棄物管理リスクマネジメントセミナー(平成24年2月16日)

平成25年4月19日
株式会社リーテム
マネジメント推進部
坂本裕尚