読み解く!廃棄物処理法(11) ~許可権者、事前協議(2)~

今回のコラムは、4月1日から中核市となり許可権者に加わる「那覇市」について、さらに同じく4月1日から千葉県の事前協議制度の一部が廃止されますのでそれについて、また排出事業者等への書類送検等の増加についても含めてご案内します。

許可権者、「那覇市」の誕生

平成25年4月1日、沖縄県の那覇市が中核市となります。
http://www.city.naha.okinawa.jp/kakuka/tyuukakusi/
(那覇市…平成25年1月末現在の人口、321,589人と、中核市となる要件の人口30万人以上を満たしている)

廃棄物の観点で見てみると、那覇市は今後、処分業の許可、並びに那覇市内に積保施設を有している収集運搬業の許可に対する許可権者となります。
収集運搬業の許可については、平成23年4月の廃棄物処理法改正で、原則的に都道府県に一本化されたため、これら政令市は通常は許可権者になり得ませんが、市内に積替保管を有する収集運搬業者については、その政令市が許可権者となります。

那覇市の許可証について

那覇市内の処分業者や、積保を有する収集運搬業者の許可証について、4月1日以降すぐに変更されるかというとそうではありません。
この変更により該当する処理業者は、3月31日現在までは、沖縄県の許可で業を行っていますので、その許可の有効期限が切れるまでは沖縄県の許可証で業を行うことができます。那覇市の許可証に変更されるのは、その有効期限が切れた際、もしくは期の途中で廃棄物の種類の追加などを行った際に那覇市に変更されます。

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千葉県の事前協議、中間処理業者への処理委託の際は不要に

千葉県内の中間処理事業者への処理委託に対する事前協議が、4月1日から不要になります。
(ただし、千葉県内の埋立業者への処理委託はこれまでどおり事前協議は必要となります。)

事前協議制度は、許可権者の自治体それぞれの条例等で規定されていますので、千葉県内の他の自治体(千葉市、船橋市、柏市)の動向を確認したところ、どの自治体も千葉県の動きにあわせるように廃止するということになりました。

・千葉県廃棄物指導課
・千葉市産業廃棄物指導課
・船橋市産業廃棄物課]
・柏市産業廃棄物対策課

◆事前協議を廃止する理由
千葉県に廃止する理由を聞いてみたのですが、
排出事業者責任が法律等で強化されているから
・各種リサイクル法の施行でリサイクルが促進されているから、
という回答でした。

(事前協議制度の理由のひとつに、不法投棄を未然に防ぐという意味もあるものと思われましたし、千葉県はまだまだ不法投棄が多いのでそれについてはどのように考えているのか聞いてみたら、それについては他の施策で引き続き対処するとのことでした。)

産業廃棄物の許可権者、及び事前協議制度一覧

那覇市の中核市への移行により、以下の表のとおり、全国で112の自治体が許可権者になります。
さらに、事前協議制度の有無についても含めてひとつの表にまとめてみました。
(色付きの自治体が事前協議制度を取り入れている自治体)

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許可権者や事前協議制度についての詳細は、以下の以前のコラムも見ていただくとさらに理解できるものと思われます。

https://www.re-tem.com/ecotimes/column/waste_law_10/
(読み解く!廃棄物処理法(10)~事前協議制度~)
https://www.re-tem.com/ecotimes/column/haikibutsusyorihou_2/
(読み解く!廃棄物処理法(2)~許可権者~)

排出事業者責任の強化と、書類送検等の増加

前述の千葉県の事前協議を廃止した理由にもあるとおり、法改正等により排出事業者責任は強化されてきており、実際に排出事業者による不適正処理事案は減少傾向にあるものと思われます。

また、最近の新聞記事から見てとると、排出事業者による不適正処理事案に対して、書類送検や逮捕となることが増えたこともあり、すぐに新聞記事になってしまう傾向にあります。
・某大手工務店、PCBの不適正処理(2013.2.5)
・某大手自動車メーカー、PCBの不適正処理(2012.12.5)
・某港湾事務所、無許可業者へ処理委託(2012.11.1)
・某大手焼酎メーカー、ボトルを不法投棄(2012.10.25)
・某産廃収集運搬・中間処理業者、マニフェストの虚偽記載で逮捕(2012.11.14)
・某産業廃棄物収集運搬業者、マニフェスト虚偽記載で行政処分(45日間の事業停止)(2012.10.9)

(ここ数か月の間でもこれだけの新聞記事がありました。)

一方、前述で那覇市が許可権者になりましたとお伝えしましたが、この他の自治体でも中核市以上の要件をすでに満たしていて中核市になるべく準備をしている自治体は7~8あります。

このように、今後も許可権者となる自治体が増え、厳しい目線がさらに増えつつあります。また、警察による書類送検の件数も確実に増えているため、新聞記事にもこれからも数多く登場することになるものと思われます。

排出事業者におかれては、このような世の中の動きを捉えながら、新聞記事となって企業のイメージダウン、社会的信用の失墜などにならぬよう廃棄物の処理を確実に行うことが望まれます。

平成25年3月31日
株式会社リーテム
マネジメント推進部
坂本裕尚