今更聞けない、産廃処理施設の現地確認 ~オンライン活用は有効か~

自社の産業廃棄物の適正処理を確保するためには、委託先の収集運搬業者や処分業者の処理状況の実態を把握することが重要です。委託先の処理状況の確認方法は、従来の対面での現地確認に加えて、コロナ禍ではオンラインを活用した手法も取り入れられるようになりました。一方で、オンラインで確認できる範囲には限界もあり、また自治体によって指針や実施要件が異なります。本記事では、2026年時点の自治体の最新動向を踏まえ現地確認の実施要件と、オンライン活用のポイントについて解説します。

~目次~
現地確認について
オンラインを活用した現地確認のメリット
オンライン現地確認の限界とオンライン活用のポイント
2026年度最新情報 産廃施設の現地確認を義務づけている自治体

 

現地確認について

廃棄物処理法において、現地確認は、排出事業者の『努力義務』(法的拘束力や罰則はない)とされています。しかし排出事業者責任の観点から、産業廃棄物の処理を委託する場合は、排出事業者が自ら委託施設での処理状況を確認・把握することが重要です。

なぜ現地確認が必要なのでしょう。それは、実際の処理状況やコンプライアンスに対する姿勢など現地に行かないと見過ごしてしまうことがあるからです。直近1年間(2025年4月1日~2026年3月31日まで)に許可取り消し処分を受けた事業者は約200社に上り、許可取り消し件数はそれを上回ります。主な取り消し理由としては、『許可内容に違反した廃棄物の保管・処理』、『行政命令への未対応』などが挙げられます。万が一、委託先の処理業者が行政処分を受けた場合、排出事業者に対しても、委託した廃棄物の撤去などの措置命令が下る可能性があります。さらにそれをきっかけに排出事業者の社名が公表されれば、社会的信用の低下に繋がりかねません。現地確認はそのようなリスクを未然に防止する手段なのです。

現地確認を行う目的については、過去のコラムで詳しく解説しています。
ご関心のある方は、こちらをご一読ください。
産廃処理施設の監査はなぜ必要?(2023.03.28 リーテムコラム)

出典 許可取消処分情報 公益財団法人 産業廃棄物処理事業振興財団

 

オンラインを活用した現地確認のメリット

2020年の新型コロナウィルス感染症拡大以前は、排出事業者が産廃処理施設に出向いて現地確認をすることが一般的でした。しかし、コロナ禍では、対面による感染拡大を避けるために委託施設の現地確認の実施を見送る企業が増えました。このことを契機に、『オンラインにて現地確認をする手法』が検討されるようになりました。

2020年のコロナ禍における外出制限や行政手続のデジタル化推進を背景に、環境省は2023年3月31日、「デジタル原則を踏まえた廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の適用に係る解釈の明確化等について」を各自治体に通知しました。これにより、従来は対面を前提としていた現地確認について、オンライン会議システムや電子データを活用した確認手法が認められるようになりました。例えばカメラを通じて施設内の状況や保管されている廃棄物の量・状態を確認したり、許可証やマニフェストなどの関連書類を事前にデータで受領し、その内容を確認したりする方法が挙げられます。

遠方の処理施設に委託している排出事業者にとっては、移動時間や交通費の削減につながるほか、廃棄物管理担当者の業務効率化にも寄与します。

 

オンライン現地確認の限界とオンライン活用のポイント

オンライン現地確認にメリットがある一方で、映像だけでは把握しきれない事項もあり、対面の現地確認に比べて限界があることも事実です。オンライン会議システムを活用すれば、映像を通じて廃棄物の保管状況などをリアルタイムで確認することは可能です。しかし、確認できるのは委託業者が撮影する範囲に限られるため、例えば 『許可品目以外の廃棄物を処理している』、『保管基準容量を大幅に超過している』といった不適正な処理の兆候を十分に把握できない可能性があります。

また、施設周辺の状況についても、映像だけでは確認が難しい場合があります。例えば、騒音や悪臭が敷地外に及んでいたとしても、映像ではその事実に気付くことは出来ません。また、近隣住民との間でトラブルが発生し、施設周辺に苦情や要望の看板が立っているケースがありますが、こうした状況を相手方が自ら映像で見せるとは考えにくいです。これらは現地確認に出向いて初めて気が付く重要な情報です。

このような点を踏まえると、オンライン確認は現地確認を補完する有効な手法ではあるものの、それだけで委託先の実態を十分に把握することは困難であり、対面の現地確認を完璧に代替する手段とは言えません。排出事業者は、オンラインを活用しながらも、やはり定期的に現地を訪問し、産廃処理施設の処理状況や管理体制、周辺環境などを、自らの目と鼻と耳で確認・評価することが重要です。オンラインと対面を適切に組み合わせることが、排出事業者責任を果たすうえで効果的な方法といえます。

 

2026年度最新情報 産廃施設の現地確認を義務づけている自治体

さて、自治体の現地確認の指針・実施要件については、自治体ごとに異なります。2026年度に当社が全国の自治体を調査した結果、現地確認の指針は『①対面での現地確認を義務とする』、『②対面もしくはオンラインによる現地確認を義務とする』、『③現地確認の実施を努力義務とする』の3つに分類されました。

『①対面での現地確認を義務』としている自治体は、129自治体のうち10自治体でした。これは優良認定を取得していない産業廃棄物処理業者に委託をする場合に限ります。

また、『②対面もしくはオンラインによる現地確認を義務』としている自治体は、21自治体でした。この他、自治体によっては、実施頻度や記録の保存期間を条例等で定めています。詳細については、貴社の排出事業場を管轄する自治体にお問合せください。

※備考 非優良認定の処理業者に委託の場合

 

編集後記

産業廃棄物処理業者の経営状況や処理・保管状況、管理体制は日々変化します。定期的な対面での現地確認を通じて委託業者とのコミュニケーションを図ることは、そうした変化を早期に把握し、リスクを未然に防ぐことに繋がります。対面での現地確認は、適正処理の確認だけでなく、委託先との信頼関係を維持するための重要な機会になります。このコラムがオンラインと対面とを上手に組み合わせた現地確認の計画策定のご参考になれば幸いです。

最後に、当社のサービスのひとつ『廃棄物処理委託先監査支援』のご紹介です。

現地確認をどのように行ったら良いか分からない、審査基準が曖昧で産廃処理施設に訪問したのに工場見学で終わってしまい、委託先の評価に自信が持てない、などはありませんか?弊社では監査準備から当日の対応報告書作成まで一貫した支援が可能です。貴社のさまざまなお悩みを解決し、ご提案を致しますので、お気軽にお問い合わせください。

本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。
ニュースレター_2026.8

令和8年8月19日
株式会社リーテム
サーキュラーエコノミー推進部
新倉 麻美
(図)加藤 翠

 

リーテムのサービスのご紹介

全国廃棄物まるごと管理サービス

https://www.re-tem.com/service/nationwide-waste-management-service/

事業者向けセミナー・研修サービス

https://www.re-tem.com/service/waste-knowhow/

 

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