資源有効利用促進法の改正案

“3R政策”とも呼ばれている、資源有効利用促進法の一部を改正する法律案が今年2月に閣議決定されました。現在開会中である通常国会で審議されるとのことです。この法律の改正には、脱炭素が急務であることや、世界的な資源需要の大幅な増加が予測されていること等を背景に、2024年8月に発表された第5次循環型社会形成推進基本計画において、サーキュラー・エコノミー(循環経済)への移行が、日本の国家戦略に位置付けられたことが関係しています。

~目次~
・現行の資源有効利用促進法とは?
・資源有効利用促進法の改正の背景と改正案の概要
・「再資源化事業高度化法」 と 「資源有効利用促進法」 によるシナジー効果の狙い
・製造業と廃棄物処分業、それぞれの成長戦略になる?

 

現行の資源有効利用促進法とは?

現行の資源有効利用促進法は2001年に、循環型社会の形成のために必要であるとして3R(リデュース・リユース・リサイクル)を総合的に推進する目的で施行されました。同法により、製造事業者は10業種・69品目について省令に定める判断基準に沿った3Rの取組みが求められています。例えば製品の省資源化・長寿命化による廃棄物の発生抑制(リデュース)や副産物の発生抑制(リデュース)、回収した製品からの部品の再使用(リユース)、使用済み製品の再資源化(リサイクル)等です。

日本では、廃棄物と資源の循環に関わる法の仕組みは、下図のようになっています。

 

資源有効利用促進法の改正の背景と改正案の概要

金属資源やプラスチックなど、今後、資源の需給が世界的にひっ迫していく可能性があることを背景に、国外では再⽣材の獲得競争が始まっていると言われています。資源価格が上昇する中で、日本でも、天然資源の輸入に頼り続けるのではなく、製品への再生材利用の拡大など、すでにある資源の循環利用を進める動きが活発化しています。

資源有効利用促進法の改正が決まると、再⽣資源を製品の原材料として利⽤することが特に必要な製品が特定され、その製品の⽣産量または販売量が⼀定以上の事業者に対して、再生資源の利用目標の計画と定期報告を求める制度が導入されることになります。また、現⾏法では、リサイクルの容易化や省資源化など、環境配慮設計を進めるべき製品(50品⽬)を指定していますが、さらに環境配慮設計の全体レベルを底上げするため、特に優れた環境配慮設計の製品を認定する制度が導入されます。現時点で発表されている、資源有効利用促進法の改正概要は次の表のとおりです。

 

「再資源化事業高度化法」 と 「資源有効利用促進法」 によるシナジー効果の狙い

ところで資源有効利用促進法とは別の、資源循環に関する新しい法律、「再資源化事業等高度化法」(正式名 資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律)の一部が2025年2月1日に施行されました。この法律が制定された目的は、廃棄物処理業全体を技術面において底上げすることにより、温室効果ガス排出量を減らすと共に、サーキュラー・エコノミー(循環経済)への移行を加速させることです。具体的には、再資源化事業等高度化法によって、廃棄物処分業者(一般廃棄物処分業者及び産業廃棄物処分業者並びに事業者であって自らその産業廃棄物の処分を行う者(ただし埋立処分業者、海洋投入業者を除く))が、自らの事業を国が定める基準に沿って高度化する取組みが努力義務となりました。「高度化」の内容には、技術の向上、生産性の向上の他に、製造事業者と廃棄物処分業者が連携して、製品のライフサイクル全体で無駄のない資源循環を促進すること等が示されています。

国は、再資源化事業等高度化法の制定 と、資源有効利用促進法の改正 という2つのアプローチによって、質の高い再生材を市場に安定的に供給させるとともに、製品への再生資源の利用を拡大させることを目指しています。

 

製造業と廃棄物処分業、それぞれの成長戦略になる?

資源有効利用促進法の、施行時期は2026年4月1日になるとの情報もあるようですが、正式発表はされていません。法の詳細な内容を含め正式決定はもう少し先になりそうです。今後の動向を注視したいと思います。製造事業者にとっては、この法改正を好機ととらえ、自社のサプライチェーンや製品設計の見直し、リサイクラーとの連携等を含めた積極的な対応を進めることが、世の中がサーキュラー・エコノミーにシフトする時代の成長戦略の1つになるかも知れません。また廃棄物処分業者にとっては、再資源化事業等高度化法について受け身の“法令対応”をするか、それとも“新たな挑戦へのきっかけ”と捉えて積極的な策を練るか、将来を左右する分岐点であると感じます。

最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。
ニュースレター_2025.4

令和7年4月18日
株式会社リーテム
サーキュラーエコノミー推進室
杉山 里恵
(図)加藤 翠

 

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