ケーススタディから学ぶ廃棄物の取り扱い(2) ~建設廃棄物の取扱い(廃棄物処理法、建設リサイクル法など)~

今回は、「建設廃棄物の取扱い」を題材として、ある建築物の解体工事について、発注者側の役割と、解体工事の元請業者の役割など、廃棄物処理法、建設リサイクル法などにおけるやるべきことを整理してご紹介します。

廃棄物処理法などに基づく、発注者と元請業者のtask

具体的なケースとして、以下のとおり設定し、解説していきます。

◇発注者A社・・A社所有の5階建てビルの解体を発注する者
◇元請業者B社・・A社からの発注により、解体工事をする建設業者
・廃棄物・・解体するビル内にPCBの安定器があり、廃棄しなければならない
・フロン・・解体するビルの躯体に据えついている設備の中にフロンがある

 

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◆がれき類、木くずなどの廃棄物の扱い

廃棄物処理法で、解体するビルから発生するがれき類、木くずなどの廃棄物は、元請業者であるB社が排出事業者になると定められています。
従い、通常の解体工事から発生するがれき類は、発注者のA社は排出事業者になることなく、元請業者であるB社が排出事業者になります。
その理由は、発注者ではどのような廃棄物がどの程度の量排出されて、どのような処理方法がよいのかわからないこと、さらに、元請業者の下には下請業者、さらに孫請業者など、建設工事に関係する業者が多数いるため、誰が処理する責任を負うのかというのを明確にしたこと、などの理由により、排出事業者は元請業者に一元化されました。

◆PCB廃棄物の扱い

しかし、このケースでは、解体するビル内にPCB廃棄物があります。そのPCB廃棄物については、PCB特措法により、これまでのPCBの所有者であるA社が排出事業者となります。従い、元請業者のB社はそのA社による処理等を待って、解体工事を行うことになります。また、A社はそのPCBが高濃度であれば、JESCOに処理委託することになります。

◆フロンの扱い

フロンについても、(後ほどのコラムで紹介していきますが)A社が廃棄者となり、B社を経由して、フロン回収行程管理表を運用することになります。
フロン回収行程管理票は、1次委託専用もしくは汎用版を使用して、廃棄者は発注者のA社、引渡受託者は元請業者のB社というように運用されます。

 

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ここまでは、廃棄物等の取扱いについて紹介してきましたが、ここからは建設リサイクル法に基づく、発注者A社と元請業者B社のやるべきことを整理していきます。

建設リサイクル法に基づく、発注者と元請業者のtask

◆発注者、元請業者の役割

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◆建設リサイクル法の概要

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(※)建設リサイクル法の対象工事の規模

分別解体等及び再資源化等の実施義務の対象となる建設工事の規模に関する基準については、
1) 建築物の解体工事では床面積80㎡以上、
2) 建築物の新築又は増築の工事では床面積500㎡以上、
3) 建築物の修繕・模様替え等の工事では請負代金が1億円以上、
4) 建築物以外の工作物の解体工事又は新築工事等では請負代金が500万円以上
となります。

 

今回は、建設工事から発生する廃棄物の取扱いや、解体工事などでの発注者のtaskや元請業者のtaskについて、廃棄物処理法、及び建設リサイクル法に基づいて横断的に解説させていただきました。

また、それに付随して発生しそうなPCB廃棄物、フロン回収についても、よくご質問を受けますのでここで紹介させていただきました。

これらに関係するケースとして、メンテナンスに伴う廃棄物の取扱いなど、今後のコラムでご紹介していきます。

 

平成25年8月28日
株式会社リーテム
マネジメント推進部
坂本裕尚
(図)池田翠