トラック業界の燃料サーチャージ制度

軽油価格の高止まりの中、運送業界の人による「走るほどに赤字」 という表現を頻繁に聞くようになりました。貨物運送事業者が適正な運賃を得るため、ドライバーの労働環境とトラック産業そのものの健全な維持のため、国は燃料サーチャージ制への荷主の理解と協力を求めています。

 

トラック運送業における燃料サーチャージ 緊急ガイドライン

燃料サーチャージ制とは、燃料の基準価格に比べて、上昇・下落した燃料費の増減分を別建ての運賃として設定する制度です。平成20年に国土交通省と公正取引委員会によって 「トラック運送業における燃料サーチャージ緊急ガイドライン」が作成され、世の中に発表されました。同ガイドラインは平成24年5月に改正(※)されています。

国土交通省は、2021年の軽油価格の上昇がトラック運送業各社の経営に影響を与えているとして、燃料費の上昇分を反映した適正な運搬料金への見直しを促進するため、現在、荷主団体に向けた通知、一般向けのパンフレット、貨物運送事業者向けの相談窓口などを実施して周知活動をしています。

燃料サーチャージの計算方法、その他の詳しい情報は全日本トラック協会や国土交通省のホームページ等をご覧ください。

※ 「トラック運送業における燃料サーチャージ緊急ガイドライン」(平成24年5月16日改訂)
https://www.mlit.go.jp/common/000211177.pdf

燃料サーチャージ制を導入するには

取引先(荷主や運送元請者)との日頃からの信頼関係の構築や、合理的でわかりやすい説明資料の準備と交渉に加えて、国土交通省の地方運輸支局への届出が必要です。

 

トラック運送業界の苦悩

コロナ禍において世の中でリモートワークが普及する中、貨物運送事業者はエッセンシャルワーカーと呼ばれ、社会インフラを支えるべく貨物を運び続けています。日本のトラック業界全体のうち約76%を小規模事業者が占めており、軽油価格の高騰が続いても、荷主に対する運賃料金の値上げ交渉がままならないケースも少なくないそうです。

全日本トラック協会によると、小規模の運送事業者は、燃料費の高止まりと人件費の高騰により増えていく損失を補うため、なんとかやり繰りをしている状態で、やむ無く事業継続を諦める事業者が増えることが懸念されています。協会は、国内運送の92%を担っているトラック運送を安定的に維持するため、荷主に対して 「運送事業者との運賃料金に関する定期的な協議の機会を持つこと」 を呼び掛けると共に、燃料サーチャージ制への理解を求めています。

 エッセンシャルワーカーとは(英語:essential worker) 

「essential = 必要不可欠な」 と 「worker= 労働者」 を組み合わせた言葉で、国民の日常生活を維持するために欠かせない仕事に就いている人達を意味します。

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言下に、感染リスクを背負って、現場で働き続ける方々を敬意を込めてそう呼んだことをきっかけに、広く使われるようになった言葉です。

例:医療従事者、トラック運転手、ゴミ収集員、バス・電車運転士、警官、消防士 等

 

編集後記

コロナ禍などの世の中の状況を問わず、社会インフラ維持のために、常に求められるエッセンシャルワークという面では、廃棄物の収集運搬事業も貨物運送事業と同じです。貨物運送を指して「動脈物流」、廃棄物運搬を「静脈物流」とする表現がありますが、いずれの場合も“運送”が国という身体を動かす血液なのであれば、そこに携わる事業者、ドライバー、しいてはサービスそのものの健全な維持は、現在の私たちの生活に絶対必要です。関係当事者はコミュニケーションと相互理解への努力を惜しんではいけないんだな、と感じます。

 

最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。
ニュースレター_2022.5

 

令和4年5月31日
株式会社リーテム
サスティナビリティ・ソリューション部
杉山 里恵
(図)加藤 翠

 

コラムの更新をお知らせします!

コラムの更新やサービスに関するお役立ち情報をお知らせする
メールマガジン(月1回程度)を発信しています。
配信希望の方は以下の「お問い合せ」をクリック!
項目から「メールマガジン配信希望」を選んでください。

お問い合わせ

リーテムのサービスのご紹介

廃棄物一元管理サービス
https://kanri.re-tem.com/

太陽光パネルリサイクルサービス
https://solarpanel.re-tem.com/

広域認定取得支援コンサルティング
https://www.re-tem.com/service/service_list/regional/