読み解く!小型家電リサイクル法(2) ~制度概要~

直近の2013/7/17のコラムは以下のサイトからご覧いただけます。

◆読み解く!小型家電リサイクル法(4) ~認定事業者~

https://www.re-tem.com/ecotimes/column/small-appliance_4/

◆読み解く!小型家電リサイクル法(3) ~4月1日施行~

https://www.re-tem.com/ecotimes/column/small-appliance_3/

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使用済小型家電リサイクル
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今回のコラムでは、小型家電リサイクル法施行令案について、パブリックコメントが環境省より発表されましたので、4/1に施行が予定されている小型家電リサイクル法の概要についてご案内します。
なお、今回のコラムは、消費者、事業者に対してのご案内となるため、認定事業者の認定条件などは掲載しておりません。ご了承ください。

小型家電リサイクル法とは… (使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律)

本制度は、関係者(消費者、事業者、市町村、小売業者、認定事業者など)が協力して自発的に回収方法やリサイクルの実施方法を工夫しながら、それぞれの実情に合わせた形でリサイクルを実施する促進型の制度

各関係者の主な役割、取組

消費者

・使用済み小型電子機器等を分別しての排出、
・市町村、もしくは認定事業者から委託を受けた小売業者等へ引き渡すよう努める

事業者

・使用済み小型電子機器等を分別しての排出、
・認定事業者、もしくは再資源化を適正に実施できる者に引き渡すよう努める

市町村

・できるだけ多くの市町村の参加が必要不可欠であり、
・その分別収集、回収した小型電子機器等の認定事業者へ引渡し、
・住民に対する周知、環境の整備、これらに関する環境教育、普及啓発を図ることなどが求められる

小売業者 ・回収ボックスの設置などにより、消費者からの効率的な回収を協力することが期待される
認定事業者 ・市町村から引取りを求められたときは、引き取らなければならなく、
・継続的、安定的及び高度に再資源化を行い、より多くの有用資源が回収されるよう、責任をもって再資源化事業に取り組むことが求められる

その他、「国」、「製造業者」の役割、取組が定められていますが、それも含めた関係者の責務は以下のとおりとなります。

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<使用済小型電子機器等の再資源化に関わる者とその責務>

http://www.meti.go.jp/committee/summary/0003198/pdf/024_02_01_02.pdf

対象品目、及び特定対象品目

以下は、「対象品目」と「特定対象品目」となりますが、その違いについては、以下のとおりとなります。

(1)対象品目
本法の対象となる品目で、30のカテゴリーに分類されています。

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(以下のサイト内の1,2頁参照)
http://www.env.go.jp/council/03haiki/y0324-12/mat02.pdf


(2)特定対象品目
対象品目の内、市町村・消費者が認定事業者に対して無償での引渡しが可能となる品目であり、国が特にリサイクルをするべきと特定した品目。

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(以下のサイト内の9,10頁参照)

http://www.env.go.jp/council/03haiki/y0324-12/mat04.pdf
◇「対象品目」と「特定対象品目」の違いについて
「対象品目」については、施行令内に明記されており、本法の対象となる品目となります。
しかし「特定対象品目」については、上記のサイトのガイドラインなどにしか出てこない言葉となります。
今回「特定対象品目」をご案内させていただいた理由は、消費者、事業者においては、排出される際の処理費の支払いの有無に直接的に関わることが多いものと推測されましたので、ここであえて、無償での引き渡しの可能性がある特定対象品目を紹介させていただきました。
なお、これらの品目は、無償での引き渡しが可能となると環境省が試算したものとなりますが、自治体によって、もしくは引き渡す個々の場面によって異なるものと思われますので、必ずしも無償とは限らないものとなります。

市町村における対象品目

本法の制度としては、前述の「対象品目」の30のカテゴリーの品目が対象となりますが、市町村が収集する小型家電の品目は、その市町村が決定することになります。従い、30カテゴリーの品目すべてを対象とするのか、特定対象品目のみを対象とするのか、または市町村で指定した品目のみを対象とするのかは、その市町村の状況によって異なるものと思われます。

市町村内での効率的な回収方式

市町村または小売業者によって地域に適した回収方式による効率的な回収が行われることが望ましいとされています。従い、以下のような回収方式が考えられていますが、実施方法はその地域に適した回収とのことで、市町村や小売業者ごとに異なるものと思われます。

・ボックス回収
・ステーション回収
・ピックアップ回収
・集団回収・市民参加型回収
・イベント回収
・清掃工場等への持ち込み
・戸別訪問回収

小型家電認定事業者マーク、及び小型家電回収市町村マーク

消費者に対して適正な排出を促すため、ボックスなどに分かりやすく示すため、などの目的で以下のマークが作成されました。

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市町村内での回収における個人情報保護対策

小型家電の中には携帯電話に代表されるように個人情報が多く含まれているものが多くあります。そのため、市町村や小売業者が小型家電を回収する際、個人情報の保護対策に配慮することが求められています。
このように個人情報の保護には配慮されるものと思われますが、やはり消費者、事業者が排出される際に、そのような情報を破棄しておくことが望まれます。

他法律との関係性

小型家電となりますので、家電リサイクル法との関係性、パソコンに代表される資源有効利用促進法との関係性について、以下に整理してみます。

◇家電リサイクル法との関係性について
家電リサイクル法の対象品目は、以下のとおりとなっているため、本法と重複している品目はありません

◇家電リサイクル法対象品目…
エアコン、洗濯機、冷蔵庫、テレビ(ブラウン管、薄型)、衣類乾燥機 (いずれも家庭用家電)
◇資源有効利用促進法との関係性について
パソコンは、資源有効利用促進法でも対象品目とされており、本法でも対象品目となっている点について、以下のようになります。

・どちらも資源の有効利用を促進する法律であり、
・資源有効利用促進法では、メーカーへの引渡し、本法では、市町村もしくは認定事業者への引渡しが求められているが、
・どちらの法律でも、消費者、事業者ともにその引渡しについては努力義務であるため、メーカー、もしくは市町村、認定事業者のどちらへの引渡しでもよい
◇廃棄物処理法との関係性について
一般廃棄物、産業廃棄物とも、各自治体の許可を有していないと、収集運搬もしくは処分業を行うことができませんが、本法では、一廃由来のものであっても産廃由来のものであっても、本制度の認定事業者として認定を受けた場合には、対象品目を扱うことができます。
ただし、産業廃棄物の場合であれば、認定事業者へ引渡してもよいですし、これまでどおりの産廃処理業者への処理委託でもよいものとなります。また、どちらの場合でも、マニフェストの交付や処理委託契約書の締結など、排出事業者としてやらねばならないことはこれまでと変わりはありません。

環境省発表資料ほか

◆環境省、パブコメ(平成24年12月25日)
「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する基本方針案」及び「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律施行令案等」に対する意見募集(パブリックコメント)について(お知らせ)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=16138

◆使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(平成二十四年八月十日法律第五十七号)
http://law.e-gov.go.jp/announce/H24HO057.html

 

本法は、まったく新しい法律となりますので、なかなかわからないことは多いものと思われましたので、今回コラムで、消費者、事業者にとってまず知るべきことを整理させていただきました。
また、冒頭の制度概要のところで、促進型の制度とご案内させていただきましたとおり、本法は各自治体や小売業者の積極的な参加によって成り立つ制度となります。

いま抱えている環境問題として、”資源の枯渇”、”資源の海外流出の抑制”などの解決が急がれるこの世においては、まさにいま必要となる制度、法律となりますので、より多くの市町村、小売業者が参画し、より多くの小型家電が市町村もしくは小売業者、認定事業者へ引き渡され、資源として再び製品に生まれ変わることを期待します。
リーテムにおいてもこの小型家電リサイクルの認定事業者となり、さらに環境教育も積極的に行うことによって、より多くの資源を回収すべく取り組みをこれからも進めてまいりたいと考えております。

平成25年1月16日
株式会社リーテム
マネジメント推進部
坂本裕尚