読み解く!廃棄物処理法(13) ~処理委託契約書(2)~

前回のコラムでは、契約書に関する基本的なことを抑えておきましたので、今回はその契約書にまつわる注意事項や覚書などについてご紹介していきます。

処理委託契約書での注意事項(ついやってしまうこと)

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契約書に記載すべき事項は、前回のコラムでご紹介したとおりですが、よく抜けてしまう項目№1,№2は、処理費(料金)、数量(予定数量)の未記載だと思われます。

確かに、排出事業者側からすると、廃棄物の品目や運搬車両の大きさによって、処理費、運搬費が異なるので記載したくない、さらに数量についても正確な数量は搬出してみないと正直わからないという理由で記載したくない、というのはよく理解できます。この理由によってよくありがちなのが「別途見積もりのとおり」という間違った書き方がよくよく見かけられます。

もしこの記載内容であると、廃棄物処理法の罰則規程の「契約書の未記載」に該当してしまい、3年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金刑に処せられてしまう可能性があります。

このような罰則を受けないためにも、どの項目でも何らかの数字を入れておくこと!これに尽きるものと思われます。この「処理費」や「数量」はあくまでも”予定”となりますので、実際に誤差があっても問題ありません。

 

処理委託契約書は排出事業者の方で用意

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これは私の知っているある建設業者で実際にあった話です。

その建設業者は当時収集運搬業者も含めて200もの処理業者と取引がありました。ところが、そのうちの約50もの処理業者と未契約の状態だったのです。な、なんと4社に1社も未契約だったのです。これは、マニフェストと契約書を付け合せを行なってその実態が発覚しました。弊社も処理業者の立場でありますので、我々から見てもこの数字には驚きです。

排出事業者からすると、当然に処理業者の方で契約書やマニフェストは用意してくれるだろうと思われるでしょうが、実際はそうではないのがこの事実からもご理解いただけたものと思われます。

このようなことがあった場合に実際に処罰されてしまうのは、廃棄物処理法の法律では、なんと排出事業者のみであり、処理業者は処罰の対象にはなってはいないのです。

このようなことから、排出事業者としては、どこかの自治体のサイトや全国産廃連のサイトにある処理委託契約書の雛形を活用して、自社の契約書の雛形として用意されてはいかがでしょうか。

 

仲介業者が介在する場合の覚書の必要性

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これもよくある話ですが、排出事業者と処理業者との間に仲介業者を経由している場合のことです。
ここではこの仲介業者も交えた3社間の支払いの覚書の必要性についてご紹介します。

法律上では、このような時の3社間の覚書の取り交わしは、特段決まりはないのですが、以下の理由で支払いの覚書を取り交わされた方がよろしいかもしれません。

◇仲介業者に処理費として支払うと、その仲介業者が処理業者の扱いとなってしまうのを防ぐため
◇排出事業者から処理業者に直接には支払われないので、債務が移転するのを明確にするため

 

以上のように、この廃棄物処理法では、実際には処理業者の不手際となるものも、それはすべて排出事業者の方に責任がおよぶという法律となっていますので、よくありがちな事例からリスクを減らすための点ということでご紹介させていただきました。

また次回にはマニフェストに関する注意点などをご紹介していきますのでご期待ください。

 

平成26年2月6日
株式会社リーテム
マネジメント推進部
坂本裕尚
(図)池田翠