廃ペットボトルの再生利用促進(通知) & 食品廃棄物再発防止策(№2)について

今年に入ってすぐに食品廃棄物の横流し事件が起きましたので、その対策ということで排出事業者の方は動かれていることと思われますが、この事件に気をとられている間にも「廃ペットボトルの再生利用促進について」の通知が1/8に環境省より出ておりますので、そのことについて少し紹介します。

さらに、前回のコラムのつづきにもなりますが、食品廃棄物の横流し再発防止策の変更点ということで、環境省より3/14に発表がありましたので、それについてとついでに筆者の考察も少々紹介します。

店頭回収された廃ペットボトル等の再生利用の促進について(通知)

さていきなりですが問題です。

「自販機ヨコのゴミ箱(空容器回収箱)に捨てられている廃ペットボトル等は、
一般廃棄物でしょうか?産業廃棄物でしょうか?」

その廃ペットボトル等は、個人によって捨てられているのがほとんどですので、廃棄物処理法的に見ると一般廃棄物となります。
しかしながら、その空容器回収箱から回収を行うのはその自販機に飲料を納品したベンディング業者によって、商品を納品されたと同時に回収されているのがほとんどなのです。よって、一般廃棄物ではなく産業廃棄物として処理されているのです。

これもひとつの要因になっているのかは定かではないですが、この廃ペットボトルの取扱い、再生利用の促進についての通知が環境省より出されました。
https://www.env.go.jp/hourei/add/k055.pdf

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この通知の主なポイントは以下の2点となります。

① 店頭回収された廃ペットボトル等は「産業廃棄物」
② 都道府県知事等による再生利用指定制度の促進

 

①について、もう少し詳しく解説しますと、次の「事業活動性」の要件を満たす場合は、産業廃棄物と解釈しても差し支えないということとなります。

◇ 主体者・・販売会社と回収者が同一
◇ 対象物・・再生利用できる廃ペットボトルであること
◇ 回収場所・・販売の場所と回収の場所が近隣であること
◇ 管理・・販売から回収までの一連の行為についての管理があることなど
◇ 一環性等・・事業活動に密接に関連していることなど

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②について、一言で言うと、この廃ペットボトルについて、都道府県知事等の再生利用指定の対象物としたことと、この指定を受ければ、この収集運搬、処分の業の許可が不要となるのでこの制度を促進させましょう!ということです。

以上が廃ペットボトルの取扱いに関する通知でしたが、この廃ペットボトルの取扱いでは東京都が先駆けて再生利用指定制度を運用したという話もあります。
https://www.kankyo.metro.tokyo.jp/resource/recycle/pet/index.html

また、他の自治体でも廃ペットボトルについては、専ら物のひとつとしているような地域、自治体も実際にありました。一方、ある県では以前電話で聞いたところ、これらの廃ペットボトルは一廃である、という見解を出して譲らないようなところも実際にありました。このような見解の不一致を是正させようというところももしかしたらあるのかもしれません。
なお、先ほど筆者が環境省に、「これらの廃ペットボトルは専ら物のような位置づけにしてもよいのでは?」と聞いたところ、「そのような議論も検討委員会等ではありましたが、市場の相場の変動幅が大きいことにより、専ら物とはしなかった」との話もありましたので、今後はこの指定を各都道府県等から受けての専ら物的扱いということになるのかなと思われます。

 

食品廃棄物の不適正な転売事案の再発防止策について(変更点)

前回のコラムでも紹介したように、今回の食品廃棄物の横流し事件の再発防止策ということで環境省の方でも議論されています。先日3/14にはその前回の再発防止策の「変更点」ということで発表されていますので、それについてポイントだけ紹介します。

① 食品廃棄物の処理に係る対策と、食品関係事業者による食品の適正な取扱いに係る対策の両面から、隙間のない対策を講ずることを検討
② 排出事業者責任の徹底のために必要な措置(処理状況の確認や適正な処理料金による委託)についてチェックリストを作成
③ 電子マニフェストについて、廃棄物処理業者が実際に行った処分方法を記載事項に追加等を検討

http://www.env.go.jp/press/102227.html

 

<筆者の考察>

今回のダイコー社への排出事業者は大手外食カレーチェーンはじめ何社かおりますが、廃棄物処理法的に見るとその排出事業者としての責任はどうしてもあることでしょう。もちろん「マニフェストE票で最終処分を確認していたのだからそれを偽造されては見抜くことはできない!」という言い分は当然あります。
しかし一方、今回の環境省の変更点のひとつにもある「適正な処理料金」であったのか、というところは少々疑問が残るところです。
また、「委託先監査を年に1回実施していた」とありますが、このダイコー社の設備の処理能力と、総搬入実績とを比較することはなかったのでしょうか。(もし比較していれば明らかにキャパオーバーというのがわかることでしょう。)
委託先監査というのはただ行けばよい、ということではないものと思われます。このようなところからしても排出事業者責任はどうしても逃れられないものと思われます。

 

平成28年3月18日
株式会社リーテム
法務部
坂本裕尚
(図)池田翠