東京都は、温室効果ガスの排出を2030年までに半減させる「カーボンハーフ」の達成に向け、都内に新しく建てる住宅等への太陽光発電システム(以下「太陽光パネル」と表記)の設置を義務づける制度の新設を決定しました。 新制度は2025年4月1日施行予定です。
太陽光パネル設置義務化の背景と目的
日本全体の発電電力量に占める再エネ電力の比率は18%(2019年度)です。国は、第6次エネルギー基本計画において、2030年までに再エネ電力比率を36-38%に高める目標を掲げています。一方、東京都における再エネ電力の利用率は、都の公表によると19.2%(2020年度)です。東京都議会は、脱炭素化に向けた一層の取組が必要だとして、「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」の改正を可決しました。同改正により、建物供給事業者に、住宅等の中小規模の建物を新築する際、太陽光パネルの設置の他、施主や分譲住宅購入者への建物の環境性能に関する説明等が義務づけられます。※東京都のホームページをご参照ください。
東京都 太陽光ポータル(制度改正の情報)https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/climate/solar_portal/program.html
太陽光パネル設置義務制度の概要
他地域では義務化が進んでいるのか
京都府と京都市では2022年から、一定規模以上の新築建物等を対象に設置が義務化されています。また、群馬県で設置の義務化が予定されているほか、川崎市でも義務化が検討されています。
国外には、新築物だけでなく既存建物も対象にしている地域もあります。例えば米国では、2019年にニューヨーク市が新築及び大規模屋根修繕する建築物への太陽光発電又は緑化を義務化にしています。ドイツのベルリンは今年1月から新築建物と屋根の改修をする既存建物が義務化の対象です。ドイツ全体では全16州の過半数で義務化が決定・検討されています(2022年3月時点)。
欧州の再エネ拡大スピードは稲妻のごとく?
昨年5月に欧州委員会は、太陽光パネル設置の他、短期間での拡大に向けた「EU太陽光戦略」を発表しました。それは、2030年までに約600ギガワット分の太陽光パネル新設を目指すという内容です。欧州が再エネへの移行を急ぐのは「脱ロシアにより脱炭素を」という意思の表れとのこと。 EUの天然ガス供給の約40%をロシア産が占めているためです。ロシア産化石燃料依存からの早期脱却計画 「リパワーEU」の発表にあたり、欧州委員会は「稲妻のようなスピードで再生可能エネルギーにダッシュしよう」という言葉で、再エネ拡大のスピードの重要性をアピールしたそうです。欧州の再エネ拡大は急速に進むと予想されます。なお 「リパワーEU」は、再エネ化の加速に加えて、省エネとエネルギー供給の多角化を軸としています。
編集後記
東京都の太陽光パネル設置義務化に対し、海外の生産地における人権問題、パネル設置の初期費用が住宅建築費に上乗せされることによる国民の財産権の侵害、リサイクル体制が確立していない等を主張する反対派は少なくないようです。東京都は、都民と事業者の理解を得るべく、説明会の開催、ホームページ、リーフレット等を公表しています。2年後に予定どおり施行に漕ぎつけるのか、わたしも強い関心を持っています。
なお、当社リーテムはリサイクラーとして使用済太陽光パネルのリサイクルに取り組んでおり、2月27日には太陽光パネルの適正処理に関するWEBセミナーを開催します。ご関心のある方は、下記の”リーテムのサービスの紹介”のリンクから、太陽光パネルのページをご覧ください。
最後に本コラムの内容を1枚にまとめたニュースレターを添付しますので、ご参照ください。
ニュースレター_2023.2
令和5年2月24日
株式会社リーテム
サーキュラーエコノミー推進室
杉山 里恵
(図)加藤 翠
リーテムのサービスのご紹介
太陽光パネルリサイクルサービス
https://solarpanel.re-tem.com/
出展します!『第 1 回 サーキュラーエコノミーEXPO』
https://www.re-tem.com/ecotimes/events/20230206/
広域認定取得支援コンサルティング
https://www.re-tem.com/service/service_list/regional/
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