読み解く!改正フロン法(2015) ~概要~

最新のコラムは以下にアップされておりますので、合わせてお読みいただければ幸いです。

https://www.re-tem.com/ecotimes/column/fron_4/ (2015.5.7)

https://www.re-tem.com/ecotimes/column/fron_3/(2015.3.3)

https://www.re-tem.com/ecotimes/column/fron_2/(2015.2.3)

 

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新年明けましておめでとうございます。本年も当コラムをよろしくお願いします。

さて、新春第一弾のコラムは、今春に抜本的に改正される改正フロン法について、ご案内します。

と言っても、本改正フロン法は大幅改正でありますので、第一弾としては改正フロン法の概要を紹介することにし、来月にでもまたその詳細ということでご案内にさせていただきます。

法律名が変更

概要を掴む上でまず抑えておきたいところは、法律名称が変更されるということです。

現在は、「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する律」でありますが、4月以降は、「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」(通称:フロン排出抑制法)に変わります。

何が変わったか・・

では、何が変わったかについてですが、現在は“廃棄時の回収・破壊”に関わる規制でしたが、今後は“省フロンの使用”と、“フロン使用中の管理”も規制対象に加わり、規制対象が拡大されます。

具体的には、以下のように規制対象はオレンジの枠の中になり、規制の対象は、製造業者から使用者まで皆さんが使用中のフロン含有機器についても規制の対象となります。

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規制対象者

上記の規制対象範囲拡大に伴う規制対象者は以下のようになります。

・フロン製造業者
・フロン含有機器製造業者
・ユーザー、“管理者”と呼ばれる、フロン含有機器の使用者
・充填回収業者
・破壊業者、再生業者

本コラムの読者は、この規制対象者の内の「ユーザー、“管理者”と呼ばれる、フロン含有機器の使用者」ではないかと推測されますし、この対象者が一番多い登場人物ではないかと思われます。
後述で、その管理者の方が何を行わなくてはならないかについてご紹介します。

規制対象製品

では、規制対象製品は、何なのか・・

基本的には改正後も規制対象製品は第一種特定製品とこれまでと同じです。とだけの紹介では不親切なので、その第一種特定製品とは、業務用の冷凍・冷蔵機器、及び業務用エアコンであります。

具体的には、業務用の製氷機、パッケージエアコン、ビールサーバー、寿司ケース、冷蔵ショーケース、冷蔵庫、冷凍ショーケースなどを指し、その設置場所ごとの例として、以下のようなものを指します。

設置場所

機器種類の例

スーパー

百貨店

コンビニエンスストア

オフィスビル

ホール

全体

ビル用マルチエアコン(パッケージエアコン)、ターボ冷凍機、スクリュー冷凍機、チラー、自動販売機、冷水機(プレッシャー型)、製氷機

食品売り場

ショーケース、酒類・飲料用ショーケース、業務用冷蔵庫

バックヤード

プレハブ冷蔵庫(冷凍冷蔵ユニット)

生花売り場

フラワーショーケース

レストラン

飲食店

各種小売店

魚屋、肉屋、果物屋、食料品、薬局、花屋

店舗用パッケージエアコン、自動販売機、業務用冷蔵庫、

酒類・飲料用ショーケース、すしネタケース、活魚水槽、製氷機、卓上型冷水機、アイスクリーマー、ビールサーバー

工場

工場、倉庫

設備用パッケージエアコン、ターボ冷凍機、スクリュー冷凍機、チラー、スポットクーラー、クリーンルーム用パッケージエアコン、業務用除湿機、研究用特殊機器(恒温恒湿器、冷熱衝撃装置など)

学校

学校、病院

パッケージエアコン(GHP含む)、チラー業務用冷凍冷蔵庫、自動販売機、冷水機、製氷機、病院用特殊機器(検査器、血液保存庫など)

その他

地下鉄構内

空調機器(ターボ冷凍機など)

鉄道

鉄道車両用空調機

自動車

冷凍車の貨物室、大型特殊自動車、小型特殊自動車、被牽引車

冷凍・冷蔵倉庫

冷凍倉庫用空調機(スクリュー冷凍機など)

船舶

船舶用エアコン、鮮魚冷凍庫(スクリュー冷凍機など)

ビニールハウス

ハウス用空調機(GHP)

また、『あれっ?家庭用エアコンや冷蔵庫、カーエアコンにもフロンが入っているけど???』と思われる方もいらっしゃることと思われますので、少し補足しますと、前者の2品目は家電リサイクル法により、後者は自動車リサイクル法により適正に処理されることとなっておりますので、残りの業務用冷凍空調機器が本改正フロン法であるフロン排出抑制法で規制対象となっています。

対象機器のユーザー(管理者)のやるべきこと

次に、対象機器のユーザーであり、本法の「管理者」との位置づけになっており、多くの方が関わることについて、以下のようにまとめました。

◆すべての機器が対象となるやるべきこと

①適切な場所への設置等
本法では、すべての機器に対して、機器の損傷などを防止するため、適切な場所への設置を求めており、設置する環境の維持保全等を求めております。

②機器の「簡易点検」(四半期に1回以上)、及び点検の記録・保管
本法では、すべての機器の所有者等の「管理者」に対して、使用する全ての業務用冷凍空調機器について日常的に行う「簡易点検」を四半期に1回以上行うよう定めています。この「日常点検(簡易点検)」は、機器ユーザーが自ら実施することが求められています(専門業者に依頼しても可)。

また、点検した場合には、その記録及び保管が求められています。

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簡易点検の手引き(冷凍冷蔵ショーケース・業務用冷凍冷蔵庫編
簡易点検の手引き(業務用エアコン編
(環境省簡易点検の手引き)

③漏えい防止措置、修理しないままの充填の原則禁止
冷媒漏えいが確認された場合、やむを得ない場合を除き、可能な限り速やかに漏えい箇所の特定・必要な措置を行うことが求められています。

◆一定規模以上の機器が対象となるやるべきこと

④定期点検、及び点検の記録・保管
また、以下のとおり、一定規模(7.5kW)以上の機器について、専門業者などの十分な知見を有する者による「定期点検」も定められています。点検を行う前に、まず自社にある業務用冷凍空調機器について、どのような機器を使用しているか確認する必要があるものと思われます。

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具体的な設置場所の例としては、上記の上から、7.5kW以上50kW未満のエアコンは大型店舗用エアコン、ビル用マルチエアコン、ガスヒートポンプエアコンなど、50kW以上のエアコンは中央方式エアコンなど、7.5kW以上の冷凍・冷蔵機器は別置型ショーケース、冷凍冷蔵ユニット、冷凍冷蔵用チリングユニットなどがあります。

◇点検等実施者
前述の簡易点検については、極論すれば誰が行ってもよいということになりますが、この定期点検については「充分な知見を有する者」が行うこととなっています。
この充分な知見を有する者とは、例えば高圧ガス製造保安責任者や冷凍空調機器技能士の資格を有する者となるため、これらの資格者が社内にいない場合には、専門の業者に点検を依頼することとなるものと思われます。

◇点検記録・保管
簡易点検でも点検の記録・保管が必要になりますが、この定期点検についても同様に記録、保管が必要になります。この記録の項目、内容については、また次回のコラムでもご案内しようと思いますので、今回は割愛しますが、この定期点検を専門の業者に依頼した場合には、おそらくは何らかの書面が出てくるものと思われますので、皆様はその書面を保管すればよろしくなるものと思われます。

◆漏えい量の報告(1,000co2-t/年以上の場合)

ある会社の拠点となる事業場がいくつかある場合、会社単位の計算となり、すべての事業場の漏えい量を合算して、1,000co2-t/年以上となった場合、所轄官庁に対してその漏えい量を報告する必要があります。また、国では報告対象となることが想定される主な事業者の目安としては、以下の店舗等が該当するのではないかと試算しています。

・総合スーパー等の大型小売店舗(床面積10,000㎡程度の店舗)が6店舗以上
・食品スーパー(床面積1,500㎡程度の店舗)が8店舗以上
・コンビニエンスストア(床面積200㎡程度の店舗)が80店舗以上
・飲食店(床面積600㎡程度)が820店舗以上
・商業ビル(床面積10,000㎡程度のビル)が28棟以上
・食品加工工場(床面積300㎡程度の工場)が20カ所以上 等

また、この漏えい量の算定方式としては、簡単に言えば、「充填量-回収量」となります。こちらについても次回のコラムで詳細にご案内しようと思います。

 

今回のコラムでは改正フロン法、フロン排出抑制法の概要ということでのご案内であり、皆様に一番関係するところの主な項目のご案内になっておりますので、これくらいに留めておきますが、また次回のコラムでは詳細にご案内と、また12月に省令が出ましたので、そのあたりの情報もご案内させていただきます。

また、環境省のホームページにその省令も含めて載っておりますので、こちらでもご確認いただければと思います。

http://www.env.go.jp/earth/ozone/cfc/law/kaisei_h27/index.html

平成27年1月5日
株式会社リーテム
法務部
坂本裕尚
(図)池田翠